表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/223

13-6




 「……」

 「……」

 ゲームとは、まっっっこと、恐ろしいものだ。

 ――先生からゲームを貰った翌日、体育祭代休日、俺の家。

 目をこすりながらそうつくづく思った俺は、朝食であるトーストの耳をかじり、続いてコーヒーを一口……そして、時計を見る。

 「……九時間(、)か……」

 言い間違え(誤字)ではない。確かに今は朝の九時だが、言葉は間違いなく九時〝間〟だ。俺はべつに現在時刻を呟いたわけではない。

 ……では、いったい何の時間なのか? 感の良い人は、この段落の三行目を見てもうすでにお気づきだろう。

 そう、この時間は、昨日の昼休みから現在までに(つい)やした、ゲームの総プレイ時間である。

 ……いや~、ホント、ゲームというのは恐ろしいものだな。特に、大人気になるようなゲームにはそれなりの、それ相応の理由があるもんだ。

 映像良し。

 操作性良し。

 おまけにやり込み要素も満載(まんさい)、となれば、もはや寝不足になること間違いなしじゃないか。もう何十回ヤドカリやら鳥やら恐竜やらを狩りに行ったか分かんねぇよ。

 ……おっと、ここで一つ、みんなに言っておきたい非常に重要な言葉がある。心して聞いてくれ。

 重要な言葉。それは、


 一日のゲームのプレイ時間は、ちゃんと守りましょう。


 だ。

 ……まぁ、それを全く守っていない俺みたいなやつの言葉じゃ、説得力は皆無(かいむ)だけどな?

 さてと。

 朝食食べ終わった俺は、隣で同じく朝食を食べていた結に話しかけた。

 「おい、結。ゴハンさっさと食べちまえよ? これから御守シスターズの家に遊びに行く約束だったろ?」

 「……ふぁ……うん、わかってる……らいじょーぶ……」

 「……」

 ちなみに、と説明しておこう。ご覧のとおり、何だか口があんまり回っていない結もあのゲームにハマってしまったクチで、俺と同じく(というか、俺と一緒に遊んでて)プレイ時間を守らずに遅くまで遊んでしまっていたクチだ。

 その結果がもたらした身体的影響は深刻で、このように、口だけ回らないのであればまだいいのだが、結は先ほどから半分目を閉じ、なぜかバターナイフをコーヒーに突っ込んではパンに()り、またコーヒーに突っ込んではパンに塗り、と、無限にコーヒー塗り塗りを繰り返している状況なのだ。もちろん、結は普段からコーヒー塗り塗りをしているわけではない。言わずもがな頭の回路が変になっていて、そんな行動を繰り返しているのだ。いやはや、ゲームってのはホントにホント、恐ろしいもんだな。

 ……ところで、そんな、ちょっと変になっちゃってる結の様子が、〝かわいい〟、とか思ってしまっている俺の頭の回路は……変、なんだろうか?

 ちゃぽん。べしゃ、塗り塗り……。ちゃぽん。べしゃ、塗り塗り……。

 「……」

 いや、異常の異常なのだから、きっと〝正常〟なのだろう。……うん。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ