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 「……というわけで、個人、団体共にぶっちぎりの成績を収め、見事MVP生徒に選ばれたお前たち三人(、、、、、、)には先生からプレゼントが(おく)られることになった。結、愛、明。受け取ってくれ」

 ――昼休みの屋上。

 俺はさっそく事情を説明し、先生から預かってきた袋からそれらを取り出して――まぁ、MVPになって当然。見た目とは裏腹に、ある意味人間離れした凄まじい身体能力を持ったMVP三娘(さんむすめ)に――それを渡すと、わぁ! と三娘は一斉に声を上げた。

 「これって、〝ゲーム〟!?」

 「こんな高価なものを……!」

 「おお! 遂に我が家にも!」

 よっし! とそんな喜んでいる三娘の様子を見て、持っていない。そう確信している先生よりもさらに上。持っていないことをすでに知っていた俺すらも、思わずガッツポーズを取ってしまった。

 そう。先生が用意した物とは、先に結が言ったが、携帯ゲーム機。ぶっちゃけると、P○Pだったのだ!

 先生が言っていたように、今となっては確かにちょっと古い。箱が開封済みなことを見てもおそらく中古品だろう。しかし、バイトも何もしていない生徒で、かつ外を出歩けない結や、施設の援助によって生活している愛と明にとってはとても高価で入手困難なシロモノ……いつも空気をぶち壊す破壊神さながらの先生ではあるが、今日ばかりは声を大にして言わせてもらおう!


 グッジョブ先生! 見直しはしないが、今回はナイスな選択だったぜ!!!


 ……まぁ、元が黒い金というのが……おっと! せっかくの空気を俺が壊しちゃまずいな。がんばった結果得た物だ。それで良しとしようじゃないか。

 「ははは、そんなに喜んでもらえると、渡しただけの俺まで何だかうれしくなっちまうな」

 ちなみに、と俺は続けて、袋からまた取り出して三娘に渡した。

 「本体だけじゃなくて、一種類だけだけどソフトもあるんだぞ? ほら」

 「おお! これはあの有名な!」

 声を上げたのは明だった。どうやらゲームは持っていなくとも、名前くらいは聞いたことがあるらしい。そのままタイトルを言い放った。

 「モ○○○ーハ○ターではないですか!!!」

 これだけ伏せれば大丈夫だろう。だが、伏せすぎてよく分からないと悪いから、俺から別の言葉で説明しよう。……先生から貰ったのは、

 デカいサルやらヤドカリやら恐竜やらを狩って狩って狩りまくる、超・有名な狩りゲー。

 ……だ! しかも2Gである!

 「わぁ! これ、一度でいいからやってみたかったんですよね~♪」

 「し、しかし、よかったのでしょうか? こんな高価なものをいただいて……?」

 と、喜ぶ明の反面、不安そうに愛は聞いてきた。

 「ゲーム機は安くとも数万円はすると、施設にいた頃どこかで見聞きをした憶えがあります。それを、三つも……」

 「ん? ああ、いや、中古ならそんなに高くはないとは思うが……それに、正確には四つ(、、)だ」

 「え? 四つ……ですか???」

 ああ。だって、と俺は首を傾げる愛をそのままに、またまた袋に手を突っ込み、取り出して見せた。

 「じゃん。俺の分(、、、)のゲーム♪」

 「!?」




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