表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/223

12-13



 ――後夜祭。

 「……ま、そうだよな」

 グラウンドの中央でキャンプファイヤーという名のゴミ焼却……ゴミファイヤーが行われていたその頃。俺は一人、グラウンドの端にある古びたベンチに腰を掛け、ソレを眺めていた。


 赤組 671

 青組 695

 黄組 616

 緑組 753

 白組 579


 体育祭の最終的な結果は、総合三位。

 知る人ぞ知る先生のネタの力もあって、大奮闘。快挙……そう言いきっても過言ではない、素晴らしい結果だったと、俺は自身はそう思っている。……何しろ、ウチの赤組は運動部が少ねぇからな。三位になれたことだってもはや奇跡的としか言いようがない。

 ははは、と勝手に出た小さな笑い声の直後。はぁー……と俺は、深いため息をついた。

 「体育祭、終わっちまったな~……」

 これから、どうするか……。

 そんなことを考えながら、ボー、っと、俺はただゴミファイヤーを見つめていると、

 そこに、だった。

 「りょっ、うっ、さま~☆ お隣、いいですか~?」

 「明……」

 現れたのは、そう。明だった。

 「あ、ああ」俺が答えると、明はいつもと同じテンションで「やった~☆」とわざとらしく答え、俺の隣に腰を下ろしてから話した。

 「いやはや、今日の体育祭はなかなか盛り上がりましたね~♪ 私や結さまたちは体育祭自体が初めての参加でしたけど、とっても楽しめましたよ~❤ あ、それから、最初に言ってたチームワークのことなんですけど、あれも予想どおり、ちゃんと発揮(はっき)できましたよ! 特にあの最後の騎馬戦とリレー! 亮さま見ててくれました~?」

 「ん……あ、ああ。ちゃんと観てたよ。お前らスゲー大活躍だったな。騎馬戦なんて次々相手からハチマキを取って倒していくし、リレーなんかゴボウ抜きで最終的にはぶっちぎりだったじゃねーか。普段結に殺られてる俺だから言えることかもしれんが、さすがの運動神経だな」

 「へっへ~☆ それほどでも~♪」言って、またすぐに明は続けた。

 「でもでも~? 亮さまもすごかったですよね~❤ 騎馬戦もリレーも結果的には負けちゃいましたけど、どちらも大活躍だったじゃないですか~☆」

 「え? ……ま、まぁな。だって、逃げるのだけは得意だから、騎馬もかなりの時間逃げていられたし、リレーは逃げ足がそのまま活かせた、って感じだしな」

 「逃げ足だって実力の内ですよ~☆ 勝てば何とか、ってやつです!」

 「え? い、いや、それってこの場合に使っていいものなのか? てゆーか、俺たち負けてんだけど……」

 「気にしたらそれこそ負けですよ~☆」

 「やっぱり負けなのかよ」

 えへへ~☆ 笑いながら、明はさらに話を続け…………。

 ……。

 何か、いつもと同じすぎる(、、、、、)な。

 もしかしたら……。

 それに気づいた俺は、静かに……未だに話を続ける明に聞いてみた。

 「なぁ、明? あのさ……?」

 「――とか、もうホント……あ、はい? 何ですか、亮さま?」

 「い……いや、その……」

 ……。


 もしかして、お前……気づいてる…………?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ