12-2
「ヤロー共ぉぉぉ!!! 今日は絶対に優勝をもぎ取るぞぉぉぉ!!!!!」
――生徒控室。
控室、などとは言っているが、つまりは自教室である。
そしていきなりで大変申しわけないが、そんな自教室内で荒々しい雄叫び(?)を上げているのは、体育祭に青春を捧げすぎてちょっとばかしヤンキー気味になってしまった生徒――ではない。この声の主は……。
「あの……先生(、、)? なんか……キャラ崩壊してますよ? 最近は、厳しくも優しい、できる女教師……的なキャラ設定にしてませんでしたっけ?」
……そう。声の主は、我らが担任・聡美先生だったのだ。
もはやナカザワ君である彼が手を挙げて先生に問いかけると、「あら? うふふ☆」と先生は、今まさに通行人を襲っている山賊のような表情から一転。いつもの自称・できる女教師……であるらしい。に早変わりして答えた。
「やーねぇ、ナカザワ君。先生はただ、みんなに気合が入ればいいなぁ~。な~んて思って、わざとそう言ってみただけよ。だから安心して? 先生はいつもの、美人でかわいくて仕事もできて生徒たちからの信頼も厚い、できる女教師よ❤」
「え…あ、いや、だから俺、ナカザワじゃないんだけど……」
……一瞬、ナカザワ君の反応が遅れたのは、
いや、先生。誰も先生をそんなふうに思ったことなんかねぇよ。
と、心の中で思ったからなのだが……そんなことは口が裂けても言えない。だからナカザワ君は仕方なく、いつものようにそうちょっとだけ否定し、手を下ろした。
……何だか、不憫な光景だなぁ。そう思ったのは、俺だけだろうか?
そして毎回毎回。これまた超・どうでもいい話で超・申しわけないんだが……体育祭なのだから、教師も一応体操着姿なのは……まぁ、普通のことだ。
だがしかし、先生の体操着は、明らかに普通(、、)ではなかったのだ。
……何?
『ブルマでも履いているのか?』
だって?
いやいや。さすがの先生でもそれはない。だってそんなことをしたら、三十路のブルマ……ザ・昭和! 丸出しになっちまうじゃねーか。自称・平成世代である先生は普通の短パン姿よ。
……では、何なのか?
それは、だな……その…………な、何か、先生の上着がやたらに、ピッチピチ(、、、、、)、になっていて、見たくもないがブラジャーの色や形が。この日のために絞りに絞ったと思われる身体のラインがはっきりと…………あぁ、痛い。目が痛い。何より、心が……痛い。
……以上。どうでもいい話でした…………。




