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#12,愛。 12-1




 ――体育祭当日の朝、グラウンド。

 「よいしょっ…と!」……ドスン!

 ふー! 仮置き場である教室から入場ゲートを運んできた俺は、そんな大きなため息をつきながら。まだ周りにはほとんど人の姿はなかったことから、普通に話した。

 「やれやれ、これでやっと俺たちの仕事も終わりだな」

 そうですね~。と、それに答えるは俺と同じくゲート運び係に任命された明だ。

 明はそれから、俺とは反対に小さくため息をつき、ゲートを見上げながら続けた。

 「係になってから約二週間。スタートに出遅れ、材料も大して揃わず、しかしそれでもできる限りの工夫を(ほどこ)し、がんばって作り上げた私たちの入場ゲート。作品……他のクラスの作品と比べても、何ら遜色(そんしょく)のない良いできであると私は思いますが……所詮(しょせん)は作った本人のひいき目。実際、どういう評価が下されるんでしょうかね~」

 ひいき目、か……。

 へっ! 俺はそんな明の言葉を笑い飛ばし、言い放った。

 「大丈夫だって。何しろ俺たちの作品にはこんだけスゲー〝仕掛け〟が施されてるんだぜ? 絶対良い評価が貰えるって!」

 「……だと、良いんですけどね~」

 「? 何だよ、いつになく弱気だな?」

 聞くと、明は、にゅふふ~☆ と変なふうに笑って答えた。

 「何もかもが初めてのことですからね~。私だってたまには不安になりますよ~☆ というか、そう言う亮さまはいつになく強気なご様子で? ……何かお悩み(、、、)ですか?」

 「え……? ば、バカ言え。何言ってんだ。悩みごとと俺の強気に何の関係があるって言うんだよ? つーか、悩んでんのに強気って……オカシイだろ?」

 「ん~……それもそうですね~」

 まぁ、いいです☆ そんなことより~……言って、明は駆け出した。

 「早く教室に戻りましょう☆ 今日は優勝目指して、えいえいお~! ですよ☆」

 ……。

 「あ、ああ。そうだな……」

 ……答えてから、俺はその後を追いかけて、教室へと向かった。





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