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――それから、また数十分後。
「は~はっはっはっ……はぁ……」
誤魔化すために笑ったのだが、一瞬でもたなくなってしまった。俺は続けてさらにもう一度大きくため息をついた。
あの意気込みの後、いったい何があったのか? それもできるだけ簡単に説明すると……
「……うかつでした。そうですよね、体育祭は学校の全クラス、全生徒が参加する学校の一大イベント……そんな一大イベントの中でも特に、クラス別に作る入場ゲートの飾りの材料ともなれば、安価な物や加工しやすい材料は自然。先取り、奪い合いになるのは必然と言っても過言ではありません。……残っている物は、質の良い物こそあれど、千円以内という条件下ではとても買うことはできないような品物ばかりでしたね……」
……というわけだ。
みんな、考えることは同じ。安い! 簡単! いっぱい! と三拍子揃った材料はすでにどの店でも売り切れていて、係決めの時点で出遅れていた俺たちは、強制的に残り物から選んで買うしか方法は残されていなかったのである。
「で、愛? 結局買えたのは……何だっけ?」
「はい……えっと、六色入りのマーカーペンが一袋と、三十枚入りの折り紙が二つ。それと五メートルの針金が二巻き。接着剤(普通のノリ)が一つ。タコ糸が一つ……以上です。制限ギリギリですね」
「……」
ギリギリ、なのは、制限じゃなくて制作できるかどうかなんじゃ……?
なんて思ったが、それを口に出しても仕方がない。しかし、どうしても出てしまうため息だけは出しきってから、俺は話した。
「……よし、まぁ作って作れなくはないだろ。あとはみんなで工夫して何とかすることとしよう」
「はい……私も、最善を尽くします」
うむ。そう頷いてから、俺は辺りを見回した。
「……にしても、安い材料を探し求めてたら随分と奥まできちまったな。もう商店街の端っこじゃんか」
「そう……ですね。まだ明るいとはいえ、帰る時間等を考えると……少し急いだ方がいいかもしれません」
「そうだな~……」
あ、でもさ? と思いついて、俺は話した。
「帰る前に、ちょっとだけ寄り道して行ってもいいか? なに、ほんの一~二分で終わることだから」




