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 「減点?」

 「あ! それなら私にも分かりますよー!」

 はいはーい! 無駄に元気に手を振り上げた明は、話して良いも悪いも確認することなく、そのまま話した。

 「この学校の体育祭では、各競技はもちろんのこと、競技以外でも……例えば応援ですとか、それこそ入場ゲートの飾り付けですとか、そういったものにも点数が付けられ、最終的な獲得点に大きく関わってくるらしいんですよ! ですので、ルールを破れば当然。それ相応の減点が科せられてしまうわけです!」

 「……なるほど」

 悔しいが、実に分かりやすい説明だ。だが、分かりやすいがために。俺はそのこと(、、、、)にも気がついてしまった。

 とは、

 「つまりこの入場ゲートの飾り付け、というのは、もはや〝競技〟。飾り付けのでき次第では、下手をすればチーム(組)の敗北にすら繋がってしまう……というわけか」

 「そういうことになりますね――きれいな白乃宮になるためにやっていることが、結果によっては真逆に成り得る――責任重大です!」

 むふふ~☆ ……口では責任重大とか何とか言いつつも、しかし明はいたずらっぽく笑った。

 この余裕……どうやら、明は作戦を告げる前からそのこと自体は知っていたらしい。知っていて、わざと自分から言い出したのだ。

 というのも、今までの俺たち……俺と結のやり方では、ノーリスクではあるが、スーパーローリターン。得るモノがほぼ全くと言っていいほどなかったのだ。そのために、十年経った今でも昔と何も変わってはいない。

 それならば! 変えて変わるためにも! 多少のリスクは伴ってもハイリターン!

 ……なるほど。ふざけてばかりいるような明ではあるが、そこはやはり御守家。やり方は少し強引ではあるが、全てはお嬢さまである結のためを思ってのこと。あいつも立派なメイドであるわけか。

 「おーけーおーけー。そういうことなら分かったよ」

 「え? り、亮?」

 パサ。

 心配そうな声を上げる結を横目に、俺は持っていたアルバムを机に置いてから言い放った。

 「俺のキャラじゃねぇかもしれねーけど、何だか燃えてくるじゃねーか! 俺たちの目標はまだ遥か先も先! こんな程度のリスクにビビって縮こまってちゃ何にもできねーもんな! よし決めた! 俺はやるぞ! リスクが何だ! 責任がどうした! 要は勝てばいいんだろ! 昨日のゲームみたいに、俺たち四人の力を合わせて勝利を掴み取ってやろうぜ!」

 「おー☆」「お…おー!」

 振り上げたこぶし。俺のそれにすぐさま応えたのは、二人のメイドだった。

 それに引っ張られるように、未だ不安そうな表情を浮かべながらも、続いて結もこぶしを振り上げて応える。

 「お、お~!」

 ……明と同じく、少し強引だったか? とも思ったが、いや、と俺はそれを否定した。

 何だかんだ言って、俺も、結も、こういうことには奥手だったのだ。だから、そんな俺たちには少し強引なくらいがちょうどいい。これくらいでなければ、前に進むことすらできないのだ!

 「やれやれ。さすがは明といったところか。俺にそれを気づかせるとは……今回のことで貸し一つ。いや、貸し三つくらい――」

 「付けてやろうと思ったが、俺の気持ちを勝手に代弁し始めたから、マイナス三つな」

 「……え? え!!? り、亮さまそれはあんまりですよ~! せめて一つくらいは~!」

 「? 何の話???」

 「ふふ……結さま、どうぞお気になさらず」

 「???」







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