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 ……。

 うん。深く考えるのはよそう。てゆーか、そんなことよりも、だ。今は俺たちに与えられたミッションを確認する方が重要だろ。

 「分かったよ」

 やれやれ。俺はため息を一つついてから、改めて。今度は愛に聞いた。

 「えっと……それで、愛? 実際、俺たちは何をどうすればいいんだ?」

 「あ、はい。……ええと、そうですね……あ、では亮さま。まずはこちらをご覧ください」

 す……と、近くの机に置いてあったのを手に取り、愛が渡してきたのは、一冊の硬そうで堅そうな、しかしやたらに古臭い、分厚い焦げ茶色の本だった。

 うわ、重っ。なんてことを考えながらも、俺はその本を受け取って表紙を見てみると、そこにはこう書かれていた。

 「えーと? 【体育祭記録】。昭和……って! 四十年も前からの記録かよ! かなりの年代物だな……」

 「そうですね。ですが……亮さま、それを二~三ページ、めくってみていただけますか?」

 「ん? ああ……?」

 言われるがままに俺は本を開き、ページをめくってみると、そこには四十年前の白黒の写真が……。

 「あっ」

 と、そこで気がついた。

 見ればそこには、白黒ながらもはっきりと。間違いなく入場ゲートであろうというものが何枚も連ねられていた。さらに注視して観ていくと、その数ページ後からはカラーの写真になり、歴代の優勝組の入場ゲートが細かく記録されていた。

 「なるほど、これは分かりやすい。百聞(ひゃくぶん)一見(いっけん)()かず、ってやつか。色々聞くよりも圧倒的に効率が良いな」

 「まさにそのとおりですね。ちなみに、資料としてはそちらの本には(おと)りますが、こちらがここ数年の資料になります」

 「ん? どれどれ?」

 愛が再び机に手を伸ばし、渡してきたのは、先ほどの本とは真逆。明らかに真新しい、まるでアルバムのような本だった。

 受け取った俺は、先ほどの本をとりあえず俺の机の上に置き、新しい本を開いてみる。

 すると……中身はまんまアルバムだ。写真と、ちょっとした記録が書き込まれているだけだった。

 どうやら、こちらの本はあくまでも本にする前の一時保管用。写真とちょっとした記録さえあればそれでいいらしい。

 しかしながら、さすがは現代の写真。先ほどの本よりもさらに鮮明に、よりはっきりと映し出されている。……確かに量は少ないが、質としては先ほどのを大きく上回っている。といった感じだな。

 ふむふむ。なるほど……。俺はそう呟き、とりあえずは思ったことをそのまま言ってみた。

 「どれも中々に手が込んでるな。特に、この龍が巻き付いてるやつとか……スゲーな。どうやって作ったんだ、これ?」

 「私にも見せて~!」

 覗き込んできたのは結だ。すぐに声を上げる。

 「うわっ! すっごーい……え? もしかしなくても、私たちだけでこんなの作るの?」

 「そういうことになりますね」

 ちなみに、と愛は続ける。

 「工具や、飾り付ける前のゲートの木枠などは学校側ですでに用意しているそうですが、それ以外の材料は基本的に自分たちで用意しなければならないそうです。と言っても、学校側からお金は出るそうで、予算は一クラスにつき千円まで。それを超えてしまった場合は自分たちで払わなければならないらしく、しかも大きく〝減点〟されてしまうそうです」




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