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いつ!?! 叫ぶように聞くと、明がびっくりした顔で答えた。
「い、いつって……ですから再来週の日曜日……雨じゃなければ、ですけど???」
「ホワッツ!!? 再来週!?!」
そんなバカな! 俺は続けて叫ぶように言った。
「ちょっ! ちょっと待ってくれよ! 俺はそんな連絡一切聞いてないぞ!!? 何かの間違いなんじゃないか!!?」
「い、いえ、亮さま……明の言っていることは本当です」
今度は……どうやらもう落ち着いたらしい。愛が答えた。
「事実、現在のお昼休みが終わってから……本日の五時間目の授業は、特別授業として体育祭の〝係決め〟となっています。『余った時間はメンドーだから、自習ね❤』……と、今朝の朝礼で小田先生が話していましたが……え? あ、あの……朝礼の時、亮さまもいっしょに聞いていたはず……ですよね???」
「……ッ!!!」
ば、バカな!! どうなっているんだ!? 俺には全く……これっぽっちも! そんな記憶はないぞ!!? いっしょに聞いていただと!? 俺を助けるためとかならいざ知らず、こんなことで愛がウソをつく理由なんかあるわけもないし……ま、まさか! ドッペルナントカっていう本人が出会ったら死んでしまうとかいうアレの類を愛は見て……ッッ!!?
「あ~……えっと、亮のことなら気にしないでいいよ?」
え?
くるり。右を振り向くと、そこには呆れ顔の結が……。
「だって、亮……連絡とか、人の話とか、そういうのはたとえその場にいたとしても、絶対に聞いてないもの。小さい頃なんか、いっしょにおばさまに怒られて私が泣いてても、亮だけは平然としてて『……ん? あれ? 結、何で泣いてるの? どこかケガでもしたの?』って聞いてくるんだよ? その時は思わず笑っちゃった。あはは」
……。
……。
……。
「……え? 何? じゃあ、ちゃんと連絡はしてあったけど、いつものように俺がそれを全く聞いていなかっただけ……とか、そんなオチ……なの?」
……連絡とか、人の話は全く聞かない。という、否定のしようもない事実を突きつけられた俺は静かにそう聞くと、三人は……
「うん」「は、はい……」「みたいですね?」
と、それこそセリフは微妙に違ったものの、同じく肯定してから大きく、こくん。と頷いた。
「……」
それを見た俺は、それからゆっくりと少しだけ後ろに下がり、両手を床に付けて頭を下げた。
「すいませんでした。今度からは、ちゃんと聞いておきます…………」
ちなみに、決して愛のマネをしたわけではない。…………決して。




