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 ニコリ。

 小さな微笑み……愛の表情からは、まだまだ恥ずかしさというものは抜けきっていない様子ではあったものの、どうやら納得自体はしてくれたようだ。おずおず、と立ち上がった愛は先ほどまで座っていた位置にまで戻ってきて腰を下ろした。

 「おやおや、どうやら一件落着といったところですかね?」

 と、それを確認した明が話し始める。

 「まぁ、私個人の意見としては、もうちょっとだけ愛が恥ずかしがっている様子を観たかったんですけど……それはさておき、ところでゲームをしている時の私たちって、中々にチームワークが良かったと思いませんか? 普段からいっしょにゲームをしている結さまと亮さまのペアなら当たり前かもしれませんが、それ以外の組み合わせでも?」

 「唐突だな……」などと俺は呟いたものの、いやしかし確かに……。そう思い、手をあごに当ててまたゲームをやっていた時の様子を思い返してみた。

 ……うん。確かにチームワークは中々に中々、良かったかもしれないな。

 だって、明の言うように、普段からいっしょにゲームをしている俺と結のチームワークが良いのは当たり前かもしれないが、べつに誰と組んでも悪くなるということはなく、ものの数分でお互いがお互いの長所や弱点を見つけ、それをカバーし合えるようになっていたのだ。経験値や親密度がゼロに等しい状態から始めてこれならば、譬えこれがテストや試験だったとしても十二分に合格点を取ることができるだろう。

 なるほどな。もう一度呟いてから俺は答える。

 「確かに明の言うとおりだな。事実、例えば俺の場合は精密射撃が苦手だけど、そこを俺と組んだ愛は見事にサポートしてくれたし、俺と同じく精密射撃が苦手で特攻が得意な明と組んでも、その分ここぞという時の瞬間的な攻撃力が跳ね上がったもんな」

 「ですよねですよね~☆」

 なぜか喜びの声を上げた明は、そのままの勢いで続けた。

 「初めていっしょにやった物でこれだけのチームワークが発揮(はっき)できるのなら、再来週行われる予定の〝体育祭〟でも、私たちは大活躍(かつやく)間違いなしですよね☆ 再来週が楽しみです♪」

 む? 体育祭か……それもまた確かにな。

 近年の体育祭では、運動能力の差から男女別々に行われる競技が増えてきているものの、その一方でまだまだいっしょに行われる競技も多数存在する。しかも、そういった競技の大多数は、特にチームワークが重要となってくるものが多いのも事実――例えば、リレー、玉入れ、綱引きなどなど――だ。

 そういった男女混合の競技に関して言えば、何度も確かに、などと言って悪いが、なるほど確かに。明の言うとおり俺たちは大活躍できるかもしれな…………。

 ……。

 ……。

 ……。


 「何だと〝体育祭〟!!!?????」





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