11-2
さて、いきなりで悪いんだが、昨日の……愛たちと遊ぶ約束をしていた、休みの日の話をしてもいいだろうか?
……何?
『オープニングのことはもういいのか?』
だって?
……。
……。
……。
気にすんな。いつものことさ。
……うん。
よし、というわけでさっそく休みの日の話だが、俺は昨日、約束どおり結といっしょにゲームを持って御守家へと向かった。
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――御守家アパート、玄関。
そこでさっそく出迎えた、白と薄ピンク色の……男物で言うところのタンクトップ(?)みたいな服に、普通の青っぽい色のジーパンという、私服姿がある意味新鮮な明からさっそく飛び出たセリフが、
「いらっしゃいませ、結さま! 亮さま! わわっ! ホントにゲームを持ってきてくれたんですね! うれしいです~♪」
だった。
やっぱりな。とその言葉をある程度予想していた俺は、続いて予想の答え合わせをするみたいに、しかしあくまでもそれとなく聞いてみた。
「ん? もしかして、お前らゲームって……?」
「はい。初めてです」
答えたのは明のすぐ後ろに立っていた、同じく私服姿の愛だった。
こちらの私服は明よりもちょっと複雑で、胸の下ちょい左側に細い白いリボンが結んである淡い青色のワンピースの上に、短いコート(???)みたいなのを着ていた。
……ツッコまれる前に先に謝っておこう。すまん。俺、ファッションとかそういうの、ぜんっぜん分かんねーから。夏は半袖半ズボン。冬は長袖長ズボン。春と秋は併用で、それさえあれば生きていける人種だから! トップス? キャミソール!? ナニソレ!!?
……コホン。
「ようこそお出でくださいました、結さま、亮さま」
そう一言置いてから愛は続けた。
「すでにご周知のとおり、私たちはこちらに戻ってくる直前まで、あの事件の日を境にずっと施設の中で暮らしてきました。……国による援助や、ボランティア、募金などで運営されている施設には、当然そういった娯楽等の備品は少なく、せいぜいがせいぜい。あった物といえば将棋やトランプ、オセロなどといった物だけでした。ですので、そういった所謂テーブルゲーム以外は、全てが初めてということになります」
やっぱり、やっぱりだったな。
どうやら予想は完全に的中していたようだ。
それを確かめた俺は、ふふふ、と若干得意げに、ジョークを交えて話す。
「そうかそうか。なら、テレビゲームに関しては俺たちの方が先輩……いや、先生と言っても過言ではないかな? 愛! 明! 今日はお前たちにゲームの楽しさというものを俺が直々に伝授してやるから、楽しみに覚悟しておけ! そして、分からないことがあったら何でも聞いてくれよ? は~はっはっはっ!」
「ふふ、よろしくお願いいたします」「イエッサー☆ 楽しみにしてますよ~!」
あ、では……。と、二人が笑顔で答えた直後だった。さっそく愛が口を開く。
「亮さま、お言葉に甘えて一つ……質問をしても構いませんか?」
「ん? おお、もちろんだとも! 何でも聞いてくれたまへ!」
えと、じゃあ……。呟いた愛は、左手で自分の右腕を掴み、それを胸の高さまで持ち上げてから聞いてきた。
「コレ(、、)もご周知のこととは思いますが……あの、そもそもテレビゲームとは、片手だけでもできるような物なのでしょうか? 私の右腕は肘から先が作り物ですので、腕の上下くらいはできても、指や関節は全く動かないのですが……」
え? ……ああ、なんだ。そんなこと(、、、、、)か。
簡単な質問だな。そう思った俺はすぐに答えた。
「確かに、大抵のゲームは両手がないとできないな」
「そ、そう……ですか……では、私は見学ということで……」
「――だが!」
そう、あえて愛が少し落ち込んでしまいそうになるタイミングを見計らって俺は続けた。
「そんなことは百も承知だ。安心しろ、愛。言ったろ? 俺はお前らにゲームの楽しさを教えてやるってな!」
「え……で、でも、そもそもできないようなものをどうやって……?」
「ふっふっふっ! それはだな……」




