10-14
決戦の準備は整った! そう全員が理解し、感じ取ったところで、さっそく交換順……結、明、愛の順に役が発表される。
「じゃあ発表ね? 私はA三枚とK二枚の〝フルハウス〟!」
「うわ! 結さま強い! 私は3と8の〝ツーペア〟です」
「えっと、私は……2……の、〝ワンペア〟です……」
「俺は5の……」
……はッッッ!!!??
役を発表しかけて、刹那俺は驚愕した。
〝フルハウス〟だと!!?
役を忘れた人は一ページ戻って確認してみてくれ! そしてそこからすでに分かっている俺の手役を加えて順位を付けると、以下のように順位が確定する!
一位、結。 二位、明。 三位、俺。 ビリ(※数字の大きさ順)、愛。
オフコース! ジ・エンド!! 俺の明日は真っ暗闇だぜひゃっはぁっ!!!
――なんって言ってる場合じゃねえぇぇぇっっっ!!!!!
心の中で叫んだ俺は、身動き一つ取れずにただ自分の手札を見つめた。
♠5 ❤5 ♣6 ♣J ❤K
いくら凝視してもそれは変わらない。5のワンペア。
……作戦どおり、確かに俺はビリを回避することには成功したものの、しかし何ということだ! 四分の三で負けるという高確率をものともせず、結がぶっちぎりで一位をもぎ取って行ってしまったのだ! しかも、俺がもしもあの時賭けに出てストレートを狙っていたとしても勝つことはできないほどの、高い役!!
配り終わった時点で役と順位が確定するこのポーカーというゲーム。何をどうがんばろうとももはや無意味。それはもちろん俺にも分かっていた。……否! 分かっていたからこそ、俺は心の中でずっと逃げ道を探し続けていた!!
どうする!? どうやってこの場を逃げきる!? 俺は何と言えば助かるというんだ!!?
「……亮?」
「はっ!!?」
その時だった。声に反応し顔を上げると……絶大な力(役)を持った勝利確定者。結が……今にも元・お嬢さまモードに突入しそうな結が、優しく微笑みながら話しかけてきた。
「ほらほらぁ、亮が発表する番だよ? 5の……何なの?」
「うぐぅっ!? ご、5の……」
「5……の?」
………………。
……ふっ。
どうやら、などと言うまでもなく、俺の完全敗北であるらしい。
もはや、抗いようがない……最初から分かっていたそれをようやく受け入れた俺は、静かに目を閉じる。
思えば、何と情けないことか。
知らなかったとはいえ勢いで女の子の部屋に突入し、下着をぶち撒けた挙げ句、それを自分の身を守るために隠ぺいし通そうとは……やれやれ。何が漢だ。俺は漢の片隅にも置かせてもらえない、ただのクズ野郎じゃないか。
そんなクズ野郎が天に……いや、地に没するのは、今が最も相応しいかもしれないな。
そう考えた俺は、ゆっくり、目を開け……




