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 「……は?」

 料理?

 洗濯?

 掃除?

 家事……全般???

 「お前みたいなの(、、、、、)が???」

 あ……と気づいた時にはもう遅かった。が、一応、つい滑ってしまった口を俺は慌てて押さえた。

 その様子を見ていた明は……当たり前だが、ものすごく悲しそうな顔で話した。

 「亮さま……それはさすがの私も傷ついちゃいますよ。みたいなの(、、、、、)って……私だって一応ちゃんとしたメイドで、しかも女の子ですよ? 家事くらい普通にできますよ……」

 「……悪い。今のは本当に俺が悪かった。このとおりだ、許してくれ」

 パシッ。両手を合わせ、俺は深々と頭を下げた。

 それから、チラリ、と目だけで明の顔を覗き込むようにして聞く。

 「しかし……どうにも信じられんな。あ、いや、明が家事をできるのは十二分に信じることができるんだけど、でもそれなら当然。愛にだってできる(、、、、、、、、)わけだろ? ……愛の性格を考えると、お前がやる前に自分でさっさとやってしまいそうなイメージなんだけど……?」

 え? ああ、それなら……と明は元の表情に戻って俺の疑問に答えた。

 だけど、

 「まぁ、確かに愛でもやってできないということはないですけど、やっぱり色々と手間がかかりますし、私がやった方が圧倒的に早く(、、、、、、)終わっちゃいますからね。だから、基本的に家事の全ては私の仕事。その代わりに、学校でのことは基本的に愛の仕事、ということになっているんですよ」

 …………は?

 今度はなんとか口には出さなかったが……しかし俺の心の返事は変わらず、は? のままだった。

 だって……そうだろ? 家事は確かに色々と手間がかかるが、でもそんなのは当たり前のこと。愛だけに限らず、明や他の全ての人間にも同じことが言えるはずだ。それに、いくら得意不得意があったとしても、家事とは所詮流れ作業。よほどのことがない限り、毎日単調に同じことの繰り返しだ。

 その単調な繰り返しの中で……明の言うように、圧倒的に早く仕事が終わる(、、、、、、、、、、、、)、などということが起こり得るのだろうか?

 ……有り得ない。

 例えば洗濯……洗濯機に洗濯物を入れて、後は洗剤等を入れてスイッチON。……洗濯が得意な人は、同じ条件で行った洗濯機の洗濯終了時間を短縮できるとでも言うのか? 無論、そんなことはできるわけがない。せいぜいがせいぜい、干す時にほんの数分差が出るだけだ。

 同じように掃除もそう。掃除の内容が同じであれば、終わるまでにそんな何十分も差ができるわけがない。……可能性がありそうなのはテクニックを要する料理くらいなものか……?

 ……ダメだ! どうしても気になる! 俺にはもう、明が家事をてきとーにやって早く終わらせているだけか、もしくは逆に、最近テレビでよく観る【家事やりすぎナントカ】みたいに愛が家事を丁寧にやりすぎてて遅くなっている、とかくらいしか考えられん!

 先ほど謝った手前、聞き辛いモノがあるが……よし! こうなったら、家事のテクニックを知りたい! とかそんな感じのことを装ってそれとなく聞いてみよう。

 そう思い、俺が顔を上げた……と、ほぼ同時だった。


 ブ~ン……ピト。


 ハチ……そう。蜂である。しかもやけにデカい。――スズメバチってやつかな? ――それが飛んできて、正座をした膝の上に乗せていた愛の右手甲に留まった。……しかし愛は、明と何やら話しているせいかそれに全く気づいていない様子だ。

 蜂……スズメバチかぁ~。最近ここら辺では見てなかったけど、改めてよく観てみると、ホントに鳥かっ! てくらいバカデカいよな? しかも強力な〝毒〟を持ってて、二回目に刺されるとナントカショックってやつを起こして〝死ぬ〟らしいし……。

 ……。

 ……。

 ……。


 蜂っっっ!!!??




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