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 「それにしても亮さま? 私の気のせいでなければ、なんですけど、本当に毎日結さまにやられちゃってるんですね? ……もしかして、〝ソッチ派〟なんですか?」

 ――屋上。

 今回のオープニングは無駄に長かったな~。なんてことを考えながら、いつものように保健室でリスボーンし、そこに行くと……先にきてシートの上に座っていた明がそんなことを言ってきた。すかさず俺は反論を述べる。

 「うるせぇよ。んなわけねぇだろ。高みたいなことを言ってんじゃねぇ(まぁ、あいつの場合は直接言ってきたわけじゃないが……※【#1,元・お嬢さま。】参照)。つーか最近のはほとんどお前が原因でやられてることじゃねーか」

 「え~? でもぉ、そのおかげで亮さまも結構良い思いしてるじゃないですか~?」

 「うっ……そ、それは……くっ! 小さい(フィードバック)では無口だったくせに、次から次へと……」

 「え? 何ですか? ふぃ~……?」

 「何でもねぇよ!」

 ブンブン! 慌てて頭を振って、考えを散らしてから改めて俺は聞く。

 「あー……いいか明? 良い思いとか悪い思いとか、そういう問題じゃないんだよ。このままじゃいつか本当に結に嫌われてだな……ん? ところで……」

 キョロキョロ、と今度は辺りを見回して、いないことを確認してから俺は聞いた。

 「その、結は? もうけっこう時間経ってるはずだけど……まだきてないのか?」

 ああ、それでしたら……と明の隣でお茶を用意していた愛が説明した。

 「結さまはあの……バカメガネザル? とかいう〝変質者〟を追って、教室を飛び出されましたよ? 私たちに向かって、『先に行ってゴハン食べてて!』と叫ばれながら……」

 「……ああ、なるほど」

 今度は高利の番か……まぁ、いつものことだな。

 そうすぐに納得した俺はさっそく気にすることをやめ、シートの上に腰を下ろした。

 「オーケー。んじゃ、遠慮なく先に食べてるとするか。――って、あ、しまった。俺の弁当教室に置きっぱだった……」

 「あ、亮さまのお弁当でしたらすでにこちらに……」

 す……。その時だった。俺の言葉に即座に反応した愛は、どこからともなく俺の弁当袋を取り出して渡してきた。しかも、そのすぐ後にお茶まで出てくる。

 おお! それを見て俺は素直に驚きの声を上げた。

 「サンキュ! 愛は相変わらず気が利くな~! どっかのメイド二号とは大違いだ」

 「むむっ!!? 亮さま、それってもしや私のことを言っているんですか!?」

 他に誰がいるよ……言葉には出さず表情だけでそれを表しながら、俺は悪口にだけはすぐに反応する明に向かって話した。

 「いや、まぁべつに誰とは言わんが……だってさ? 見る度に仕事をしてんのは愛の方じゃねーか。俺は二号が仕事をしている姿を一度も見たことがないんだが……」

 「ななな! それはいくら大海原よりも広い心を持った私でも聞き捨てなりません! 二号だってちゃんとがんばってメイドしてますよ!」

 ……遂に自分で二号って言い始めたよ。

 おっと、それはどうでもいいとして……「じゃあ聞くが」と俺は続けて話した。

 「その、ちゃんとがんばってるらしい二号は、いったい何をどういうふうにがんばっているんだ? 例えば、をいくつか例に出して言ってみてくれよ」

 「そんなの、お安い御用ですよ!」

 ふふん! と明はなぜか自信満々に、胸を張って話した。

 「例えば、料理や洗濯、掃除など、所謂〝家事全般〟をほぼ私一人が担当しています!」




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