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#10,御守家。 10-1


               【視点・〝亮〟】



 「りょう~! はやく~! こっちだよ~! あはは♪」


 「……え?」

 突然、だった。

 名前を呼ばれ、目を開けると……俺の眼前に広がっていたのは、夕暮れ色に染まった小さな公園……そう。結と初めて出会い、そして〝最初の会話〟をした、あの公園だった。

 それを見て、俺は当然。

 「あれ? 俺、何でこんな所に……???」

 と首を傾げてしまうこととなったが、しかし次の瞬間。俺はさらにその首を傾けて……いや、むしろ傾げた首を元に戻し、驚愕すらしてしまう事態に遭遇することになってしまった。

 というのも、

 「? りょうってば! なにしてるの?」

 再び名前を呼ばれ、声のする方を振り向くと……そこには三~四歳くらいだろうか? 高そうな白いワンピースに身を包んだ、小さな女の子の姿が……

 「えっ!!?」

 思わず声を上げてしまった。

 だって、そこにいたのは……ずっといっしょにいたこの俺が見間違えるはずがない。


 小さい頃の、〝結〟の姿だったのだ。


 「ゆっ! 結!!?」

 驚愕のあまりもう一度声を上げると、ミニマムな結は「ん~?」とかわいらしく首を傾げて答えた。

 「なぁに? どうかしたの、りょう?」

 「いや! どうかしたの、って……!!?」

 ええい! 落ち着け、俺! 今はとにかく聞かなければならないことだけに質問を絞って聞くんだ!

 そう考えた俺はすぐにミニマムな結に向かって聞く。

 「お前……ゆ、結、だよな? 白乃宮 結。間違いないよな???」

 「??? そうだよ? わたしは、はくのみや ゆいだよ?」

 「じゃ、じゃあ、何でお前……そ、そんな小っちゃくなってるんだ??? あれ? だってお前は……」

 「??? ちっちゃいって……りょうだって〝おんなじくらいちっちゃい〟じゃない? さっきからなにいってるの、りょう?」

 「え……あっ!!?」

 言われて気がつくと、地面が妙に近い。それに手足も何だか、ぽちゃぽちゃ、と丸まっこく、筋肉などと言うのには程遠い、まさに〝子どもの身体〟そのものだった。

 近くに鏡などもないため、自身の全身を確認することはできなかったが……おそらく、と言うまでもなく、俺の身体は明らかに、目の前にいるミニマムな結と同年代の身体へと変化してしまっていた。

 え? あれ??? いったいどうなってるんだ? だって……え? 俺は今、高校生のはずじゃあ……???

 「ほら! りょう? へんなことばっかりいってないで、はやくいこうよ!」

 「あ、そ、その……っ!!」

 「??? ほんとにどうしたの、りょう?」

 ……分からない。何もかも、本当に…………。

 「あらあら~?」

 その時だった。俺が立っている場所のすぐ左……ベンチが設置されている方から、妙に聞き慣れた大人の声が聞こえてきたのだ。

 俺はとっさにその声の方を振り向くと、今度はそこに、

 「どうかしたの、亮ちゃん? 転んでケガでもしちゃったのかしら~?」

 「て、店長!!?」

 そう。すでに大人であるために現在とほとんど変わりはしなかったものの、若い頃のデラックスバリューの店長。通称・オカマ店長の姿があったのだ。

 「どれどれ~? あら、やっぱりこんなところ擦りむいてる! も~! 痛かったらちゃんと言わなきゃダメじゃない~!」

 「え??? いや、だって……」

 だってじゃないの! そう店長は俺に強く言い、キョロキョロ、と周りを見回した。

 「えーと、まずはお水で洗い流さないとね! それから……あ~、しまったわねぇ~! こんな時に限って絆創膏が……」

 「……はい」

 と、俺の混乱ゲージはすでにMAXであるのにも関わらず、限界を超えてさらに新たな人物が登場する。

 店長の後ろ……そこにいたのは、今の俺と同じく。ミニマムな結と同い年くらいであろうという、おもちゃみたいな小さくかわいらしい〝メイド服〟を着た二人の女の子だった。

 一人は……ポニーテールが特徴の女の子は、左手で絆創膏を差し出し、その子の後ろにいたもう一人。ウェーブヘアーが特徴の女の子は、俯いたまま一言も話さない。

 ……〝メイド服〟という時点でもうお分かりだろう。二人共まだ髪の色は黒のままだったが、間違いない。

 そこにいたのは、小さい頃の白乃宮メイド隊の二人……御守 愛と明だった。






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