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いったい何のことだろう? そう不思議に思っていると、亮は慌ててそれに答えた。
「ばっ!? おまっ……いきなり何を言い出すんだよ!? 結に〝変な誤解〟でもされたらどうしてくれるんだ!!?」
「おや? それは違うのではないでしょうか、亮さま? だって現に結さまは、〝べつに〟と、今はっきりと呟かれましたよ? それはつまり、すでに〝誤解が生まれてしまっている〟という証拠なのではありませんか?」
「ぐっ!!? ……し、しかし、そんなまさか、本人の目の前でそんなことを……!!!」
「……ねぇ、二人共?」
遂には我慢ができなくなってしまい、私は二人に聞いた。
「さっきから何の話をしてるの? 私のこと……なの???」
「えっ!? い、いや、その……!!」
「イエース☆ オフコースですよ結さま~!」
さ、明!!? ――驚く亮に構わず、明は続けた。
「いいのですか、亮さま? このまま、〝誤解〟されたままで? ――〝誤解〟というものは、いずれ大きな〝溝〟を生み、埋め立てようと思ったその時にはもう〝手遅れ〟となっている場合があるんですよ? ……ここは〝勇気〟を持って、〝前〟に進むべきなのではありませんか?」
「うぐっ……!!? そ、それは確かに、そう……かもしれないが……でも…………!!」
「亮さま!」――明の大声に、亮の身体が、ビクン! と反応した。
そして……何やら〝優しい顔〟で、明は話した。
「いいじゃないですか、亮さま……。確かに、私もきっと、亮さまは怒られてしまうと思います。……しかし、そんなものは、〝いつものこと〟なのでしょう? ――〝いつものこと〟の、たった〝一回〟だけを我慢して……勇気を持って〝本当のこと〟を伝えれば、きっと、それから先は〝明るい未来〟が待っているはずですよ?」
「さ……さ…や…………」
……分かった。亮は、静かに……しかしはっきりと頷いて、答えた。
「俺……〝伝える〟よ! 確かに、明の言うとおり、このままじゃ誤解がいずれ〝溝〟となってしまうのは明白だ! だから……〝伝える〟! ……俺は結に、〝俺の気持ちを伝えて〟、そして必ず〝明るい未来〟を切り開いてみせる! ――必ず!!!」
「ふふ……それでこそ、亮〝さま〟です。――がんばってください!」
わ、私も……! とそこに、さらに……なぜだか涙目になっている愛が加わった。
「私も心より応援を申し上げます……そして何より、亮さま……どうか、ご無事で……!!」
「明、愛…………ああ! 俺はもう、迷わない! 〝後〟は、頼んだぞ……!!」
「「亮さま!!」いっけぇ~い☆」
「応ッッ!!!」
…………。
……何だかよくわからなかったけれど、どうやら私の知らないところで話がまとまってしまったらしい。亮は気合も十二分に、空に向かって拳を突き上げ、それを見た愛たちが、きゃーきゃー、騒いでいた。
……それにしても、いったい何の話をしていたのだろう?
〝私に本当のことを伝える〟?
〝明るい未来を切り開く〟???
〝亮の気持ちを私に伝える〟、とも言っていたようだし、本当に何が何だ…か…………。
……。
……。
……。
……。
……。
……。
…………へ?
亮が、私に……〝本当の気持ちを伝える〟!!!!!??????????




