表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/223

#9,雲散霧消? 9-1





 ――ところでさ? 何気に俺ってば、〝衝撃(しょうげき)事実(じじつ)〟ってやつを手に入れたんじゃないか?


 ――一時間目終了間際の教室。

 クラス中から発せられる、『授業、さっさと終わんねーかな~?』オーラをモノともせず、淡々と授業を続けているじーちゃん先生の遥か後方……俺は静かに、昨日得た〝そのこと〟について、考えていた。

 ……とは、もちろん、


 ――愛と明の、〝バストサイズ〟……に、ついてである。


 ……(おぼ)えているだろうか? あれは、そう。俺が結に……元・お嬢さまに殺される、ほんの十数分前のことだ。

 俺自身が犯した文字どおりの〝致命的なミス〟により、高利との〝秘密の会話〟が、結たち白日の下へと(さら)された、あの瞬間。しかし明は確かに、こう、言ったのだ……。


 『残念ながら私は〝C〟ではなく、84センチの〝Dカップ〟です! ……しかしながら愛の方は〝大当たり〟ですよ! 86センチの〝Eカップ〟です!!』


 ――と。

 ……。

 ……。

 ……。

 …………なぁ? これってさ? 〝本当のこと〟だと……思う???

 ……いや、だってさぁ? 二人はまだ、俺と同じ〝高校一年生〟なんだぜ? それなのに、そんな、まさか現役グラビアアイドルもびっくりな胸なんか……普通に考えて持っているわけがないだろ? しかも、と……十年ぶりに再会して、(わず)か一日の明にそれを言うのも変な話ではあるが……それを言ったのは、〝あの明〟、なわけだし…………。

 ……。

 ……。

 ……。


 いや! 〝違う〟ッッ! ――〝そうじゃない〟んだ! ……今はそれが事実かどうかなんて、〝どうでもいい〟んだ……ッッ!!!!!


 パシィッ! ――次の瞬間だった。

 俺は、一瞬。俺自身の考えに引きずり込まれそうになる〝意識〟を、顔を平手で叩くことによって、何とか留まらせた。

 その結果、また周りの数人が「何だ?」と俺の方を振り返ってしまうことになったが……そんなのは〝いつものこと〟だ。今さら、イチイチ、気にすることではない。

 俺が今……そう! 〝今〟!! 最も重要(じゅうよう)()して考えなければならないことは、即ち!


 そんな二人よりも〝圧倒的にデカい〟胸を持つ結のバストサイズは、いったい〝何センチ〟であるのか……ッッ!!!???


 ――ってことだッッ!!!

 「……ふぅぅ…………!」

 俺は一度大きくため息をつき、そして(ほほ)を伝う〝熱い汗〟を(ぬぐ)った。

 ……落ち着くんだ、俺ッッ!!! 自然と熱くなってしまうのはもはや仕方のないことかもしれないが、しかし! 心の中はいつだって冷静に、クールに保つんだ……そう! 表面上は荒れ狂う日本海ではあるが、波の下はいつだって(おだ)やか……そんな感じに!!!

 ……まぁ、実際の海の中がどうなっているのかなんて、俺は全く知らな……おっと! そんなことは毎回どうでもいい!

 キッ! と俺は目を見開き、俺の席からはかなり離れている壁際(かべぎわ)の席で、真剣にノートを取る、結の姿を……否! 〝おっぱい〟の観察を開始した!

 刹那(せつな)――ごくりっ! 思いもよらず、大きく(のど)が鳴った。

 で……〝デカい〟ッッ!!!

 改めて()る、巨大な〝ソレ〟ッッ!! 他の追跡(ついぜき)を一切許さないほどの巨大な〝ソレ〟は、もちろんそのままでもはっきりと〝デカい〟と分かったが、その数席後ろで真面目にノートを取っている、すでに十分大きいと分かっている愛と見比べると、さらに〝一目瞭然(いちもくりょうぜん)〟だった。

 〝一回り〟……〝二回り〟……いや! ヘタをしたら、〝三回り〟!? ――もちろん、胸元に比較的(ひかくてき)余裕(よゆう)があるこの学校の制服では、そこまではっきりとしたことを言いきれるわけではなかったが……だがしかし! それでも明らかに、結のおっぱいの方が〝大きかった〟のだ!

 ば……バカなッッッ!!!??

 瞬間、俺は口元を手で押さえ、心の中で叫んだ。

 〝(かり)に〟……〝仮に〟、だ! あの時明が言った、〝愛は86センチ・Eカップ〟が……三度も言うが、〝仮に〟、〝真実〟だったとしよう!

 じゃあ、それよりも〝圧倒的にデカい〟結のおっぱいは? いったい、何センチ〟だって言うんだ??? それって……えっ????? だって……えっ??????????


 ――落ち着けッッッッッ!!!!!!!!!!


 ――ダンッッ!!

 俺は、思わず机を思いっきり叩いてしまった。

 その結果、さっき顔を叩いた程度の音では振り向かなかった他の生徒たちまで……未だ淡々と授業を続けるじーちゃん先生を除く、〝全てのクラスメート〟たちが俺の方を振り返ってしまうことになったが……それすらも! 今の俺には〝どうでもいい〟ことだった!

 ――知りたい!

 ――気になる!!


 ――いったい結のおっぱいは、〝何センチ〟なんだ……ッッ!!!?????


 ……くっ!!! こうなったら……算数や数学は苦手だが、俺はこれでも〝現役の高校生〟だ! 〝因数(いんすう)分解(ぶんかい)〟? ホワイ? ナニソレ? 的なおっさんじゃあないんだ! ここは、俺と結との距離。そして壁に貼られている連絡用の紙やら、机の大きさやら、利用できるものはとにかく何でも利用して、そこから結の〝おっぱいの円周(えんしゅう)〟を(みちび)き出――


 バキャアッッッ!!!!!


 「…………〝あ〟」

 刹那、だった。それを導き出す前に、俺の頭では〝ある計算〟が瞬時に導き出されていた。

 その、〝計算〟とは…………。


 【 俺(a)、調子に(p)乗る+元・お(b)嬢さま、ブチキ(p)レる = (#9(a)+オープニ(b)ング終了)死(p) 】


 ……という、〝死因(しいん)数分(すうぶん)(かい)〟――


 ダッダッダッダッダッ!! ――グッッッシャアアァッッッ!!!!!!!!!!








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ