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 「――あー、分かったよ。聞いてやるからそんな大声出すなって。……で、いったい何の用なんだ? これで三度目だぞ?」

 『ん……あ、ああ、それなんだがよ? いや実はさ? 今日、俺が転校生のかわい娘ちゃんたちに殺された後、お前がお嬢さまも連れて学校の案内に行ったらしいじゃんか? そん時にクラスの男子たちの間で、一早く二人の〝人気投票〟が行われたらしいんだよ』

 「あ? 〝人気投票〟だと? あんだけクラス中を恐怖に(おとしい)れた二人のか?」

 物好きもいたもんだ……一瞬、そう思ってしまった俺ではあったが、『いやいや』と高利はそこに説明を付け足した。

 『何だかんだ言っても結局二人は美少女なわけだし、それにさ? 聞いた話によると、二人は俺たち男の〝夢〟の結晶でもある、〝本物のメイドさん〟たちらしいじゃんか! そりゃあ確かにちょっとは怖ぇよ? でも、それ以上に二人には、〝夢〟が! 〝ロマン〟が! 盛りだくさんなわけよ! ――亮! お前だって男ならこの〝熱い気持ち〟……分かるだろ!?』

 「いや……ま、まぁな? そりゃあちょっとは、〝グッ〟! とくるものはあるけど……」

 だろ~!? そう興奮気味(こうふんぎみ)に答えて、高利は続けた。

 『そういうわけで、今! クラスの男子の中では熾烈(しれつ)な人気争いが起こっているわけよ! ちなみにこれを――〝第一次メイドさん人気投票の乱〟――というんだ! テストにも出るからちゃんと覚えておけよ?』

 何のテストに、だよ……。

 「あー、分かった分かった」

 面倒くさく思いながらも、それにテキトーな相槌を打った俺は、それからため息混じりに聞いた。

 「……で? ことのつまり、電話をかけてきた理由は、俺にもその〝人気投票〟とやらに参加しろ、ってことでいいのか?」

 『話が早いな! ――ああ、つまりはそういうことだよ。……で? 実際お前はどっちに投票するんだ? 愛ちゃんか? 明ちゃんか?』

 「う……う~ん……」

 ……って、言われてもな……俺の場合、二人とは幼なじみだから、実際どっちかを選べって言われても、選びにくいものがあるんだよな? だってほら、二人の知らないところでなんかこう……〝優劣(ゆうれつ)〟をつけてるみたいな感じになっちゃうし……。

 う~ん……と再び唸った、その時だった。それを何か勘違いしたのか、高利が……実際は見えるはずもないが、電話越しにも分かるくらい、大きく頷きながら話した。

 『分かる! お前の気持ちはひっ……じょ~に! よく分かるぞ! だって二人共美少女ではあるが、その〝種類〟が全然違うんだもんな! ロリ系の愛ちゃんか、元気ハツラツな明ちゃんか……』

 「あ……ああ、まぁな? ――ちなみにお前はどっちを選んだんだ?」

 『おっと! そいつぁ言えねーな!』――気まずさから、ここはテキトーに高利の意見に便乗しようとした俺の考えを、高利は図らずも粉砕した。

 『いや! 正確にはお前が答えてからじゃねーと言えねーよ。だって、俺の考えでお前の意見が変わっちまうかもしれねーわけだろ? だからぜってぇ言わねーからな! ……ああ、もちろん、そういうわけで他のやつらの意見も教えねーからな?』

 くっ! 妙なとこだけ公平になりやがって……しかし、まいったな……これでは何かしら答えなければ、不自然に思われてしまうかもしれない……ならば、ここは何でもいいから高利の気を引けるようなことを話しつつ、その流れで最終的に決めようではないか!

 そう考えた俺は、とりあえずは二人の〝スタイル〟の良さから話を振ってみた。

 「……そうだな? 全体的にバランスが良いのは明…ちゃん、なんだが、あの幼顔と身体とのギャップが激しい愛ちゃんも捨てがたいんだよな~?」

 『おお! やはり亮もそこで悩んでたのか! そうなんだよなぁ~! 俺もそれが中々どうして決められなくてよ~?』

 ――よし! 〝ツカミ〟は完璧なようだな? あとはもう少し話を膨らませて……。




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