表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/223

1-10改 ウチゴハン。

 「――ところで、亮ちゃん? その顔の傷……どうしたの?」

 ――晩ゴハンの食卓。母さんが聞いた。

 「あっ、こ、これは、その……!」

 それには俺に代わり、慌てて結が答えようとしたのだが・・・…結局、「……うぅ」と赤くなって、何も答えられず、小さくなってしまった。

 「……ふ~ん? なるほどねぇ……」

 と、しかし、次の瞬間だった。たったそれだけの結の反応を見て目を細めた母さんは、あごに手を当てて――

 「――さては亮ちゃんが、友だちがお金くれるからって借りた変な本を読んで、その変な本のせいで、なんか、こう……〝洗脳状態〟? みたいなことになっちゃって、結ちゃんに何かエッチなことでもしたんでしょ? それで、結ちゃんは叩いちゃったと?」

 ――ば、バカなッッ!? 何という洞察力だ! 傷と、結が見せたほんの僅かな反応を見ただけで、そこまで分かってしまうのか!? まるでその場にいて、実際に見ていたかのような完璧な推理じゃないか!!!

 俺の驚異的洞察力は、どうやら母さん(ゆず)りだったらしい。……いや、もしかしたら結のソレも、母さん譲りなのかもしれないな。……そう、俺は密かに〝恐怖〟した。

 こくん、と母さんの推理に、結が静かに(うなず)いた。それを見て母さんは、うふふ、と笑う。

 「いいのよ、その時は。ガンガンやっちゃいなさい!」

 ……せめていのちだいじに……いや、じゅもんつかうな、くらいにしてほしい。特にあの常時バイキ○ト&ピ○リム(所謂(いわゆる)〝正気を保った状態のバーサーク〟)状態だけは、ホントに勘弁してほしい。あれではマップをまともに進めないではないか!

 俺はそう、また密かに心の中で〝祈った〟。

 ……あ、さて、そんな恐ろしい話よりも、この辺りで文字どおりの口直し。今日の晩ゴハンを紹介しておこうじゃないか。

 まずはコロッケ。そしてご飯。――以上だ。

 ……え? 何? 〝少ない〟って? ……いや、まぁ、確かにそうなんだが……実は基本、俺の母さんは〝一品料理派〟なのだ。しかも小皿に分けることもなく、ど真ん中に大きな皿を置いて、そこに山盛りにする、というスタイルだ。

 ……何とも手抜き感バツグンな食卓だが……しかしまぁ、料理自体には意外と手が込められている。

 ――例えば今日のコロッケだが……材料は定番のジャガイモと牛ひき肉(と母さんは言い張っているが、実際には合びき)その他だ。

 普通、この後は材料を炒めてから丸め、パン粉を付けてサラダ油で揚げれば完成なのだが、母さんの場合、その炒める時にひと手間……何と、ひき肉を一度、〝昆布(こんぶ)(みず)〟で〝煮る〟のだ! そうすると肉の臭みが消え、さらには昆布の(うま)みが肉にしみ込む……これだけでも十二分にうまいが、母さんはそこにさらに、〝ラード〟も使用する。すると、これがまた絶品! まるで肉屋のコロッケへと進化するのだ。おまけに生パン粉を使って、さくさく&ふわふわに仕立てているから、もう、とにかくうまい!

 ――あ、以上、ウチゴハンでした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ