子供に連れられて
「もしもーし、聞こえてますか?」
ああ、死んだんだ。
そう実感がわいたのは、魂だけで、自分の木っ端みじんになった肉体を見下ろしていた時だった。
だが、話しかけてくる声が聞こえてくる。
「だれだ?」
死んだ人間に話しかけてくるのは、よくアニメやマンガで見かけるが、一旦自分がその立場になると、不思議な気分だ。
まるで主人公になったかのような感じにさせてくれる。
「えっと、なんて声をかければいいのか分からないんですけど、ご愁傷様です」
「ご愁傷様です」
頭を下げているのは、2人の子供だった。
姿形から見て、男女1組のように見える。
「子供?」
「そうだよ。僕はアイード、彼女はシーナ。魂の回収員だよ」
「魂の?」
「そう。いろいろききたいところだろうけど、とりあえず、これからのこと話しながらね」
そう言って、強引に俺の両手をそれぞれが引っ張って行き、これからのことについて説明をしてくれる。
「サイン神は、知ってますよね。魂を集め、浄化するっていう神さまですけど」
「もちろん」
常識だ。
俺は、シーナの言葉に、だから知っていると答えた。
「なら、話は早い。それなら、これからそこに連れていきます。そして、あなたは生まれ変わるのです」
「転生ってことか」
そう聞きながらも、すでに俺は意識が混じってきていた。
なにやらおおきな暖かいものに包まれていると言う感じだ。
彼らの声も、遠くに聞こえる。
転生も、悪くないだろうな。そう言ったはずだが、その言葉も、もはやいったかどうかすら分からない。
そして俺は、考えられなくなった。