旅立ち
「旅に出よう。」
この地では大豆のようなものは見当たりません。仕方がないので僕は魔族領へ向かうことにしました。
「幸人様!私も連れて言って下さい!」
「…危ないからダメ。」
この後何だかんだあって押し切られました。この場で抱くか一緒に連れて行くかの選択肢がないことを言われてしまったので、仕方ないです。
…本音を言うなら、元悟りを開いた大賢者と言えども可愛い女の子が付いて来るのは嬉しいです。もっと言うなら正直抱きたいとも思います…が、僕は保護者です。そんなことはしません。
因みに彼女の方が懐いてくれているので色々スキンシップをとってくるのですが、僕はそれだけで何だかんだ楽しんでいます。
大賢者といえども僕だって男なのでそれ位は許してください。大賢者になれる程異性と繋がりがなかった僕は今回の体でも異性との接し方が分からず、元の世界でも前世同様にお独り様でした。
…それが僕の大豆製品への傾倒に拍車をかけたんです。まぁ大豆製品への愛情は半分以上僕の本望でしたけどね。
…だから、今位は良いじゃないですか。まだ子供だからじゃれることに恥じらいを覚えてない今だから僕にもこんな感じなんですよ。
どうせ成長すれば保護者である僕は「お父さん臭い」みたいな扱いを受けるんですから…
言っておきますが、納豆の袋は匂い漏れしませんし、付与能力のおかげで僕自身も臭くないですからね!
「…さてと、出かける前にこの村の人たちに挨拶位はしておきましょう。」
切り替えましょう。この村は僕がいなくてももう大丈夫な村に成長しているのですから、僕がいなくなってもいいと判断を下すはずです。
「桃子。準備は良いですか?」
「え…まだ全然何もできてません!」
「あ…大抵は僕が魔法で準備するから、必要なものを持って来ると良いですよ。」
最近学んだんですが、この世界の人は3食納豆が出ると飽きるらしいです。ですから他の食料も持って来るのをお勧めします。
その他、あると良いものを教えると桃子はもの凄い勢いで準備を始めました。
…さて、その間に村長さんの所にでも行きますか。さくっと済ませてこの村を出ましょう。
…もの凄く長い時間をかけて説得する羽目になりました。まぁいいです。大豆探しが終わったら帰ってくると言っても渋られました。
しかし、桃子が村長に小声で何か言うと一同破顔して僕らを気持ちよく送り出すことになりました。
辛うじて「心魂旅行」がどうのこうの言っていたのを聞き取りましたが、大豆は僕のソウルフードとは僕からも言っていましたし、魔法を使えばそんな放浪みたいに厳しい旅じゃなく、旅行気分で行けるとも言っていたのですが…僕が言っても通じないのに桃子が言ったら通じる…世の中不思議です。
「…それでは。」
「はい。」
桃子は町の娘さんたちに何か色々貰っていますが、何か恥ずかしいものらしく、僕には見せてくれません。
反抗期の走りでしょうかね?これから二人きりの旅というのに大丈夫でしょうか?
お、終わったようです。こちらに向かって来て腕を取りました。…特定箇所のおかげで少し顔が緩みそうになりますが、面には出しません。
さて、僕たちの旅が始まります!
打ち切り型です。
書きたくなったので書きました。何か続きそうですね…どうなるかは決めてません。