お終い
怒られて泣かれてしばらくして僕は完治しました。この世界は治癒魔術の効きがしょぼくて嫌になりますね。
まぁこの前住んでた世界に至っては魔力自体なかったんですけど…あの世界は楽しかったし、怪我をする心配が事故とか位しかなかったから別にいいんですけどね。
さて、何とかかんとか言う砦をぶっ潰したことで僕は少し時間にゆとりが出て来ました。
そこで多少平和になったし、僕がしばらくいなくても勇者が来るくらいの時間は稼いだのでは?と思い始めました。
そうなると、僕は納豆を愛してるんだけど、納豆だけが好きなわけじゃないからそろそろ帰りたいと思い始めました。そろそろ帰りたいんだけどなぁ…と呟くとどこかで聞いていた桃子は号泣して僕からしばらく離れなくなったので少し黙っています。
ですが、勇者が一向に来ません。それで仕方がないので僕の好きなその食べ物を作ることにしました。
豆腐です。
僕が豆腐を好きだと気付いたのは納豆豆腐を食べたいと思った時です。…これはどちらが主役なんだ…?と。
結果、僕の判断ではどちらも主役。納豆が完全なる主役なのですが、豆腐も準主役を張れることに気付いてしまい、豆腐は調味料範疇から除外されてしまったのです。
このことは僕を震撼させました。この世界に来て初めて残念に思ったのです。すぐに母なる地球に帰りたいと思い、「帰りたいなぁ」と呟いてしまったのは仕方がないことでしょう。
その時ですね。桃子が必死に引き止めようとしてきたのは。確かに戦力としても離したくないでしょうし、飢える心配が復活するからそんなことは止めてほしいというのも分かりますが、僕には僕の生活があるんだよ?と言ったら何故か私生活に言及されました。
何故でしょうかね。奥さんは居るのか?と訊かれたので男は18歳。女が15歳から結婚できるところだから僕は17歳ということでまだ結婚できないんだ。相手もいないし。と言うと何か少し怖い目になって僕を見ました。
…まぁいいです。とにかく早く勇者を呼んでもらって役目を終えたい所なんですが、世界を跨ぐ魔術は魔法と呼ばれるもの凄いモノだという事は僕も知ってますから多少待ちましょう。
魂だけの移転だけでも賢者と言われた僕が半生を費やしてやっとでしたし。肉体ごととなると2年は見積もっておきましょう。10年くらいかかるようでしたら僕が口出ししてもいいでしょうね。
それまで僕は頑張って大豆のような作物を見つけて豆腐を作りながら納豆の様に粘り強く頑張って行きたいと思います。
これで一応本編は終了です。後で桃子と幸人のお話を足すかもしれません。
ここまでありがとうございました。