納豆と少女
「はい押さない押さない。」
家の鍋と後まぁ何か魔術ってやつをやってみて大きな鍋を作って納豆汁を作ったところ、何か最初は恐る恐るだった人たちが多かったのですが口コミが広がり人気になりました。
流石納豆です。万能ですね。あらゆる調味料が出て来る小瓶にも助けられました。納豆汁用の味噌が出たからこれは大成功だったのですから。
(…むぅ。家で作った納豆汁より美味しい…)
因みに出汁も調味料判断でした。どこまで調味料判断で行けるのかと思ったので調査したところ僕が納豆の付け合せだと思って使う量は調味料判定されるようです。ご飯かけ納豆も出来たし、固形もばっちり。
それで炊き出し後、僕に側女のような女の子が預けられました。欠食童子という言葉がぴったり当てはまりそうな少女です。
僕は自慢じゃないですがコミュニケーションには自信がありません。人とコミュニケーションを取るくらいなら納豆菌とコミュニケーションを取った方がいいと断言して育った結果、ちょっと人が苦手になってしまいました。
僕のことを納豆お化けとか言う人もいたし…そう言うやつは納豆大好きって言うまでお仕置きをして上げましたが…
とりあえず、僕なりのコミュニケーション。納豆を勧めてみます。美味しいものを食べればみんな仲良しさ!
「食べてみな。」
ぶんぶんぶん!
…もの凄い首を横に振られました。ショック!…まぁ、多分彼女からしてみれば見たこともない食べ物だしねぇ…仕方ないかな?
とはならない。食べず嫌いは許さない!(納豆に限る)
魔力操作で高速撹拌!今回はシンプルに甘めの出汁ウィズ醤油!さぁ食え!
「うぅ…」
僕は涙目の少女に納豆を突き付けます。少女は恐る恐る…口に含みました。そして目を輝かせて食べ始めます。
「フッフッフ。それ、僕が生涯でこれを越す納豆はないだろうと思ったほどの納豆だよ不味いわけがない!」
口の周りをべたべたにしながら少女は納豆をかっ込みます。僕はそれだけでこの世界に来た甲斐があった…と初日にして感慨深いものを覚えました。
「…ありがとうございました。」
「うん。ところで全身が返り血とかにまみれてたから洗いたいんだけど…」
無事打ち解けられたところで話の流れを変えます。お風呂がこの家には見当たらないので公衆浴場的な何かに案内して欲しいと思ったのです。
因みに色んな補助の中に生活魔術の部とか言うものがあって体は清潔に保てるし変な服も綺麗になるのですが、何となく汚いままの気がするのでシャワーを浴びたいと思うのです…が、少女は首を傾げました。
「お綺麗ではありませんか?」
「いや…お風呂かシャワーか…」
少女は更に首を傾げました。…なるほど。無いという事ですね。仕方ないです。作りましょう。
家を増築して風呂場を作ると魔術を使ってお湯を作り、体を綺麗にしました。その後少女にも風呂に入るように言って身を清めさせます。
女の子は美少女でした。出汁で鮮やかになった納豆のような綺麗な栗色の髪、枝豆の様に幼さを残した醤油顔。その他もろもろ美少女として申し分ないです。
まぁ、だから何?って話でしょうけどね。相手は僕が元いた世界じゃランドセル背負ってそうな少女ですし、僕は17歳です。何にもないまま夜は更けました。