ありふれた転移
ある日、ある時、自宅でおやつ代わりに納豆を食べていたときの事。急に僕は神様に呼び出された。
「あ、どうも。僕、神様やってます。」
「どうも…何の神様ですか?」
僕は納豆を撹拌しながら尋ねます。今回は山葵醤油でいただきます。バランスが必要なこの組み合わせですが、僕にはもう慣れ親しんだモノです。
神様(納豆の神じゃないらしいので種類はどうでもいいと判断して忘れた)は僕が3パック程の納豆を食べ終わるまでに僕をここに呼んだ理由をぺらぺら語ってくれました。要するに異世界に行けとのことです。
異世界に別世界から魔王がやって来たらしいのです。出身元の世界を征服したはいいもののその後の統治に失敗したので新天地を求めて…とのことだということです。現在世界に不満を持っていた人間に禁呪をかけて魔族にして大進攻しているらしいです。
ここまでの話に納豆1パックが消費されました。僕はこの1パック目の納豆をよく噛んで食べます。この納豆は他のに比べて一度噛んだ後でも触感がいいからです。
それで、対抗勢力に勇者を呼ぼうとなりましたが、ここで現在アクシデント。召喚陣が作動しないどうしようとパニックになっているらしいです。それですぐに原因究明したいところですが、魔族の進攻が半端ないとの事。このままじゃ勇者呼ぶ前に潰れちゃうよ。ということらしいです。
ここまで2パックかかりました。食べかけの1パック目の時とは違い、食べてもいいかな…?と警戒しながらだったので少し時間がかかったのです。
それで、時間稼ぎに僕に魔族進攻が進み気味な場所に行って勇者が来るまで時間を稼いでほしいとのことですね。勇者には残念ながら素質がないですが、単純戦闘力において少し人間離れしている僕に白羽の矢が立ったとのことです。
完食しました。納豆に合うチーズを最後に混ぜた納豆で終わりです。それで僕から質問。
「で、行きたくないんですけど。納豆ないんでしょ?」
「確かに今から送る世界は僕が一気に人類とか動物を創造したけど菌類は創ってないからなぁ…それにしても君は納豆とどんな関係なんだい…?胃の中に魔界産の偏食な虫でも飼ってるのかな?」
神様は呆れ顔です。
長い話の結果、無理な話をおしつけるのだからと神様にごねて様々な納豆を無限に出すことが出来る藁袋(紐を解かなければ決して開かないポケットに入れておいても安全のミニサイズ。破壊不可。)と望めばどんな調味料でも自由に生み出せる瓶(ポケットに入れられる安心の小サイズ。破壊不可。)を貰いました。
それとそれじゃ戦闘にならないと神様から昔、どこかの偉い神様が創ったらしい一本が千本になるナイフと何か適当な補助効果を与えられて僕は異世界行きを承諾しました。
一応承諾しましたが、ふと気になったことを訊いてみます。
「えーと、学校とか、施設に連絡したいんだけど。」
「一身上の都合で辞めますって連絡しておいたから大丈夫。」
「ふーん…後、懇意にしてた醤油屋さんとか…」
「そっちも終わってる。…あ、そろそろ限界が近いから。早く行って来て!」
そう言われて返事も聞かずに神様は僕を別世界に飛ばしたようです。