輪廻・転生
短編小説のような詩のようなモノに成り果てました。
どうして。
「泣かないで」
誰か嘘だと言って。
「ずっと、ずっと傍にいるから」
あなたが何故死ななければならないの?
「幾度時が巡ろうとも」
置いていかないで。
「何度生まれ変わろうとも」
私を独りにしないで。
「ずっと君を見つめている」
でもあなたは消えてしまう。
私はひとりになってしまう。
「ずっと、ずっと…見つめているから」
そんな事言わないで。
それでも寂しい事に変わりない。
「君が闇に捕らわれる時は必ず導いてあげるから」
神よ、あなたは何度私の願いを叩き潰せば気が済むの?
「僕が照らしてあげるから」
お願い、望むものはただ一つなの。
「君が僕を本当に忘れない限り一緒にいることはできるから」
私の大切なものを奪わないで。
「だから、泣かないで」
私の大切な人が消えてしまう。
「それとも、君は覚えていてくれないかな。僕のことを」
そんな訳ない。
忘れられる筈が無い。
今日も
明日も
明後日も
私が死んで、
時空を飛び越えて、
生まれ変わったその先でも
ずっとあなたを愛してる。
あなただけを。
ずっと、ずっと。
「愛しているよ…」
ありがとう。
さようなら。
そして
『おやすみ……愛しい人』
***
塾帰りにいじっていた携帯を閉じると
まるで闇に抱きしめられたかのように
私は真っ暗闇の中。
街灯までまだあと少し。
暗いのも、独りも嫌い。
誰か、誰か。
私を独りにしないで。
その時
ふと見つめた足元に自分の影。
光を求めて見上げると
空には大きな月がひとつ。
そうか。
あなたは照らしていてくれたんだね。
導いていてくれたんだね。
ずっと、傍にいてくれたんだね。
お月様。
何だ。
ずっと独りなんかじゃなかった。
急に笑いがこみ上げてきて
月に向かって言い放つ。
「愛してるわ、お月様」
時空を超えたその先でも、ずっと。