03.宰に料理を作ってあげる。〈璃音〉
私は不本意ながら宰に料理を作ってあげていた。
本当は自分は作る側じゃなく、食べる側なのに。
「はい、どうぞ」
「ん、やっぱ普通だな」
作ってもらっておいて文句を言うの?!
しかも文句言わないってさっき言ったばかりじゃないの。
「文句言わないって言ったの誰?」
私はニヤリと寒気がするほどの笑みを浮かべて言った。
「お、俺です」
「そう。じゃあ文句言わないように黙ってなさい」
…………。
「何か言いなさいよ」
「黙ってろっつったのはお前だろ!!」
「なにか言った?」
「すみません。やっぱなんでもないです」
それならいい。
「リオ、お前飯の量多すぎないか?」
「いつも通りよ」
といってカーペットに横になる。
「お前いつか絶対太るぞ」
「煩い。黙れ」
「なんだよ煩いって……」
なぜか宰の後ろに目をうるうるさせた子犬の姿が見える。
「お前は犬なの?宰。構ってオーラ全快なの?!」
「なんだその構ってオーラって」
「構ってほしい生き物が出すオーラよ!」
私は今若干苛々している。宰といるとたまに喧嘩する。
前世の影響?私の性格?まぁどちらでもいい。
「あんたもう帰んなさいよ」
「わかった。璃音が冷たくするから帰る」
なんなんでしょう、そのへたれた子犬モードは。
学校でのいつもの悪ぶってる不良モード宰はどこ行ったのよ!
「また明日。風邪ひくんじゃないわよ」
「おう、じゃあな」