02.璃音に旅行計画を提案される。〈宰〉
俺の名前は賀川宰。高校1年男子。
俺は魔王だった。前世でユーシアという名の異世界で魔王と呼ばれていた。
魔王と呼ばれていた理由は髪も瞳も服も黒で魔物を使役していたからだ。
しかも肌が白いせいで余計黒が目立つ。
今はただの男子高校生。いや、”ただ”のではない。
なにしろ前世の記憶を持っているからな。
俺は勇者に殺されて、この世界に生まれた。
『魔王』や『魔女』、『魔族』などの『魔』が付く者は勇者に倒されなければならないのだろうか。
それが運命だとしたら悲しすぎる。
俺は今、璃音と一緒に帰宅路を歩いている。
璃音は瑠璃紺の髪をした、悪女面の美人だ。
クラスでは俺と璃音はどこか一線を引かれている。
俺は女子から憧れの人的な感じで。
リオは纏う冷たい雰囲気で。
しかし、現世の女子は皆積極的で暑苦しい。はっきり言って邪魔だ。
周りがそんな感じの分、幼馴染でとても古い付き合いのリオと
裕樹の彼女の柚梨以外の女子が少し苦手だ。
別にたぶん害はないので嫌いなわけじゃないのだが。
「ねぇ宰、皆と今度どこか行かない?泊りがけでさ」
「俺は別にいいが……どこ行く気だ?」
「ん~とね、京都以外?」
京都以外って……
「なんでだ」
「だって高校の修学旅行で行くでしょ」
こいつの中では高校の修学旅行といったら京都なのか。
定番だからだろうか。
「なぜ高校の修学旅行が京都行きになっているんだよ」
「えっ?!高校の修学旅行といったら京都でしょ?」
なんだそれは。高校の修学旅行=京都みたいな式は。
「別に京都じゃなくてもいいんだぞ」
「ふーん、でもやっぱ京都以外で。デジャウニーランドでも行く?」
デジャウニーランドか、俺も最近行ってないな。若い人向けだし大丈夫だろう。
といっても俺と璃音は266歳の爺婆だがな。
「とりあえず2人に聞いてからだな」
「わかった」
もうそろそろ璃音の住んでるマンションに着くな。
「着いた~」
相変わらず豪華だ。そして今なんとなく璃音の手料理が食べたくなった。
「璃音、飯食わせろ」
「え、なんでよ」
「腹が減った」
言っておくが腹が減ったのは事実だ。
「別にいいけど」
親に電話を掛け、了承を取る。親は俺達の仲を良く知っているので、2つ返事でOKした。
リオと一緒にマンションの中へ入る。
「いつ来てもここは入りにくいな、一般庶民の俺としては」
「私だって一般庶民よ?」
「こんなところに一人暮らししてる奴が何を言う」
「うっ」
リオは言葉に詰まったようだ。
「私の料理が不味くても文句言わないでね」
「わかったよ」
ネーミングセンスなくてごめんなさい。
なんなんだ、デジャウニーランドって……
意味はどこかで見たことのある国って意味です。