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第七話

「そんな簡単なこともわからんとは、やはりお前はアホだな」


「で、実際はどういう理由なんです?」


「それは当然、私がコーヒーに興味を持ったからに決まっているだろう?」


舞はコーヒーをすする。


やはりそんなことを言ってくるだろうと思っていたが、本当に言ってくるのがこの人なのだ。


「世界情勢にも知らぬ間に影響を与えてしまうのが私なのだよ。わかったかな、音無君?」


「は、はい。わかりました。流石ですね。すごーい」

響助は気の無い返答をする。


「コーヒーの香りはいいな、心が落ち着く。やっぱりお前も私のコーヒーを飲むべきだ」


舞はもう一つのコーヒーをいれ始めた。


「そうだ、最近の練習の調子はどうだ?次の大会の曲には、お前のクラリネットソロがあるからな。プレッシャーに押し潰されたりしていないか?」


「あ、その点なら大丈夫です。余裕ですよ、余裕」


舞がコーヒーカップを持ってきた。


「ほれ、飲め」


無理矢理渡される。しょうがないので飲んでみる。コーヒーのわからない響助にも意外と美味しいのではないかということがわかった。


「美味しいですね。苦味だけじゃなくて、旨味がありますね」


「ほう、素人が言うじゃないか」


舞は二杯目のコーヒーをいれ始める。


「だが、余裕でいるのもいいが調子に乗りすぎるなよ。思わぬところで、足をすくわれるぞ」


急に吹奏楽部顧問の顔になる。


普段は目茶苦茶な舞も音楽のことになると真剣になるのだ。だから皆、吹奏楽部員として舞を慕い、ついていっているのである。


「コーヒーを飲んでお互いに落ち着いたところで、今日は何があったんだ?」


突然、話題を元に戻された。


「実際も何も、何もないんですって!」


「本当にか?私の眼はごまかせんぞ」


舞がじっと顔を見つめてくる。


「なんでそんなにじっと見つめてくるんです?」


「何かわかるかと思ってな」


「わかるも何も、何にも無いんですけど・・・」


そういえば二人きりだったなと思う、舞の整った顔がだんだんと近づいてくる。響助は困惑した。

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