第三十八話
「それじゃあ、次は何の説明をするかなー、っと」
「はあ」
響助は大きく溜め息を吐いた。
「俺、このままでいいのかな」
「いいに決まっているじゃないか」
「何を根拠にしてるんですか」
「私自身だ。私、いや私達を信じろ、音無」
「さあ、次の説明に行くわよ。響助」
京香が話を進めようとする。
「そうだな。次は敵についてだ」
舞はホワイトボードに大きく「敵」と書いた。
「我々の敵は女帝スフィア・ド・エルシエール率いるバルソリュート帝国」
ホワイトボードに続けて書いていく。
「女帝の下には三人の幹部がいる。仮面の学者ウィーン、人形師ゲドール・マータ、女騎士ライラ・エル・ジェイン。三人とも強敵でな。我々はいつも辛酸を嘗めさせられてきたんだ」
バンバンとホワイトボードを叩く。
「まずはスフィアについてだ。スフィアは先程も言った通り、冷酷な女帝だ。惑星を一人で支配し、人々を苦しめている元凶だ。そして、今は地球を狙っている」
そう言うと舞は黙ってしまった。
「それで、他には?」
「それがよくわかってないんだなー」
「一番の敵なのにわかってないんですか!」
「しかたがないだろー。三幹部だけで手一杯なんだからーさあー」
「急に投げやりにならないでくださいよ」
舞はホワイトボードに意味不明な落書きをしだす。
「だってー、私達の力だけでは三幹部を相手にするだけで手一杯なんだからーさあー。大切なことなので二度言ってみました」
意味不明な落書きは地図の様になっていく。
「そんなことでは勝てませんよ!」
響助は力を込めて言った。
「はっ!そうだな。たまには良いことを言うな、音無。私がこんな弱気では勝てるものも勝てなくなってしまうな。お前に気付かれるとは」
「そうですよ。それに先生には弱気は似合いません」
落書きは止まった。