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第二話

腕時計の針は三時を指している。


もうそんな時間かと思い、急ぎ足で楽器の置いてある教室へと向かう。


「先輩、急いでください。もう集合してないの私達だけです!」


「なんでこんなにギリギリまで呼びに来なかったんだよ!」


「大変だったんですよー、先輩を見つけだすの。それはもう、いくつものトイレを巡って、ようやく見つけだしたんですからね。私の苦労も少しは理解してくださいー。やっぱり、先輩は私がいないと駄目ですね!さあ、私をお嫁にしなさい!」


少年は溜め息をつきながら後輩の戯れ言を聞き流すと、丁寧に楽器を持ち上げ、目的の場所へと早々と向かう。今日は休日、部活をやっている者しかいないため、人が少なく歩きやすいはずなのに、目的の場所への足取りは重く、見えない障害が道を阻む。


それほどまでに行きたくないのかと聞かれれば、そうでもない。しかし、どうしようもない違和感と不安が頭の中を駆け巡っている。

このまま到着すれば、間違いなく長々と説教をされ、心にダメージを受けた状態で、この便せんの主と出会うことになる。


彼なのか、彼女なのかもよくわからないが、おそらく彼女なのだろう。一体、どんな人物なのか?



今朝、いつも通り決まった時間に起きて、いつもと似たような朝食をとって、いつもと同じ道を行き、学校に着いた。そして、いつもと同じ様に部活をやって、帰るはずだった。しかし、下駄箱を開けた中には、いつも見慣れていない物が入っていた。



淡いピンク色の小さな便せん。



生まれてこの方、バレンタインにネタでクラスの女子達が男子全員に義理チョコを配っているのをもらったり、親からもらったりしたことがあるくらいで、こんな便せんなど一つももらったことなど無かったし、こんなことは漫画や小説だけの空想の話だと思っていた。だが、現実に起こってしまった。


とりあえず、開けて中を見てみる。


「部活が終わった後、体育館裏に来てください」


と、一文書いてあっただけだった。


名前を探してみるが、名前は見当たらない。しかし、部活が終わった後ということは、同じ吹奏楽部員なのだろうか、なぜなら今日は吹奏楽部しか練習は無いのだから。そうだとしたら誰だろう、まったく検討がつかない。

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