第十九話
響助と心は商店街を歩いていた。
「おい、心?喫茶店にでも、寄っていかないか?」
響助はぎこちなく聞く。
「せっかくのお誘いなんですけど、今日はちょっと」
「あっ、ああ。別にそれならいいんだ」
二人の間には何か溝が出来てしまったように、静かな時間だけが流れる。
「先輩、ちょっとトイレに行ってきますね」
「ああ、わかった」
商店街の喧騒の中に取り残される響助。心内では京香とのキスのことしか頭に無かった。京香の唇は柔らかかった。
そんな時、目の前に女の子向けの小さな雑貨店が目に入った。
明日は心の誕生日だっけ。
そう思うと、体が自然とその方へ向かった。何かにひかれるように奥の方に進んでいく。
そして、一つの小さな銀色のハートのペンダントを見つけた。
それを手に取り、レジへ持っていく。頭の中はぐちゃぐちゃだった。
「これ下さい」
代金とともに女性店員に渡す。
「ありがとうございます。プレゼントですか?お包みしましょうか?」
「お願いします。大切な人へのプレゼントなんです」
もう頭の中は整理が着いた。
「先輩!」
「おっ、心」
「帰りましょう!」
「急にどうしたんだよ」
「何でもいいじゃないですか」
「それもそうだな」
二人はその後、楽しく帰った。
「心、また明日な」
「はい、また明日」