第十八話
誰もいなくなったはずの校舎、職員室に二人の人影があった。
「どうだ京香、上手くやれたか?」
コーヒーをすする者、舞だ。
「あんなものに上手いかも、下手かも無いわよ!私にもコーヒーを頂戴」
それに対応する者、京香だ。
「どうだった、初キッス?見てたぞ」
舞はニヤニヤしながらコーヒーをいれた。
「冗談じゃないわ!あんなのキスには入らないわよ!ノーカンよ、ノーカン」
「そうか、それはかわいそうな話だ」
京香にコーヒーを渡しながら言った。
「何がよ?」
「いや、何の意味もわからずにキスをされてしまった音無がかわいそうだなーと」
「それこそ、しょうがないでしょ。地球を救うためなんだから」
「悪かったな、こんなことさせて」
「今さら何を謝ってるのよ。真実を知ったら、誰だってこうするはずよ。って、苦」
京香は苦そうに舌を出す。
「お前、ブラック飲めなかったのか」
「そうよ、悪い?」
「いや、意外だな、と思ってな」
「ふーん、砂糖二つね」
「わかった、覚えておこう」
舞は京香のカップに二つの角砂糖を入れる。
「それで今日はどうするの?」
「今日はこれから最後の調整だ。あそこに行くぞ」
「わかったわ。で、明日は」
「そうだ、明日は動くぞ。あちら側の眼もこちらに来ているようだしな」
「近々動かさなきゃいけなさそうね」
「ああ、そうだ。二人の交響曲、楽しみに、いや不謹慎か、期待しているぞ」
「はいはい、わかってますって、まかせてよね」
「まあ、こちら側にできるのがまだそれ位なんだがな」
「ふーん、あっ。このコーヒー意外と美味しいんじゃない?苦みだけじゃなくて、旨味があるっていうか」
「ふふっ、お前らはなかなかいいパートナーになりそうだ」
二人はコーヒーカップを置いた。