え?聖女って、聖獣がいなかったら何もできないの?
名前を借りました
フィクションです
私は聖女ガーネット。
このサファイア国を豊かにする貴重な聖女。
誰もが私を崇拝する。
神殿の祭壇の前で祈る。
変な猫に絡まれた。
邪魔だなぁ…
私がいるだけでこの国は栄える
豊かで平和で温暖な国。
「聖女様〜」
「聖女様〜」
もっと私を讃えなさい。
私は、今日も神殿で祈る。
「にゃ〜ん」
また猫!
「この!邪魔!あっち行け!」
いつものウザい猫を蹴り、聖女見習いに押し付け国から追い出した。
あぁ…スッキリした。
数日後、いつもは穏やかに降る雨が、いつの間にか豪雨になった。
私は聖女の力で雨をやませようとしたが、やまなかった。
※※※
その頃、国境を越えた私、聖女見習いのルビーと猫。
サファイア国の隣のシトリン国は、絶えず曇っているのだが、私と猫が入国してから、雲が途切れた。
猫を抱いて、テクテク歩く私。
「国を出ろって言われたから出たけど、どこへ行こうかなぁ?」
「にゃ〜ん」
「え?お腹減った?」
「にゃ〜」
猫が、腕から飛び出して走り出した。
「猫!ちょ待っ!」
私は慌てて猫を追いかけた。
「にゃ〜」
騎士達が倒れている。
その向こうに、狼の魔物と戦っている騎士がいる。
「にゃ〜〜〜〜!!!!!!」
猫が鳴いた。
すると、狼の魔物が逃げ出した。
騎士達が、猫と、追いついた私を見る。
「だ…大丈夫ですか!?私、聖女見習いです!怪我を治します!」
私は、片っ端から怪我を治した。
「ありがとう!」
「助かったよ」
「良かったぁ…」
騎士達がお礼を言う。
「ありがとう。私はシトリン国の騎士団の3番隊隊長ジルコンだ」
おっと…イケメンの登場だ。
「私は聖女見習いのルビーです」
「聖女って、この国にはいないけど…?」
ジルコン隊長さんは首を傾げた。
「私は、サファイア国の聖女様に、この猫を連れて国を出ろと言われて…」
私が言うと
「はぁ!?」
「何だそれ?」
騎士達が、私の代わりに怒ってくれた。
「それなら、行く所は無いのか?」
ジルコン隊長さんが言った。
「はい」
「じゃあ、俺達のとこに来なよ」
「ルビーちゃんなら大歓迎だよ!」
「安全に、どこにでも連れてってあげるよ」
騎士達の勢いに押される。
「…ありがとう…ございます…」
「私達の怪我を治してくれたんだ。団長か、国王から礼があると思う」
ジルコン隊長さんが言った。
「え?私、大した事してませんよ?」
「大した事してるって!」
「よし、とにかく戻るぞ」
「はい!」
私と猫は、ジルコン隊長の馬に乗せてもらった。
「それにしても…雲が無いな…」
「そうですね…」
騎士達は、そんな話をしていた。
やっぱりそうなんだ?
シトリン国の騎士団本部に行く。
「魔物に会わなかった」
「初めてです」
「どうしたんだろう?」
「まさか…」
騎士達の視線が、猫に向く。
「そういえば、この猫…魔物を追い払ったな」
広い応接室のソファに座り、紅茶を飲む私。
たぶん、ジルコン隊長さんは、もっと偉い人に報告してるんだろう。
その後、ジルコン隊長さんに、お城に連れて行かれた。
「こたびは、騎士団3番隊隊長及び隊員の怪我を治したとの事。礼を言う」
国王様?国王様なの?
何か偉い人がいっぱいいるよぅ…
「あ…はい…」
偉い人達に囲まれて、縮こまる私。
「褒美をやろう。その前に、私がいたら緊張するだろうから、下がって良いぞ」
国王様が、優しく微笑んだ。
「あり…ありがとうございます」
ジルコン隊長さんに連れられて、騎士団本部に戻る私。
広い応接室のソファに座る。
「緊張したか?」
ジルコン隊長さんが笑う。
「緊張しました〜!国王様なんて、会う事無いし〜」
「そうだな。よくがんばったな」
ジルコン隊長さんが、頭を撫でてくれた。
「にゃ〜ん」
「そういえば、その猫」
「いつも、聖女様に擦り寄っては、聖女様に邪険にされてました」
私が答える。
「たしか、聖女様に押し付けられたって…」
「はい。こいつを連れて国を出ろって」
「君は、見習いだったね」
ジルコン隊長さんが確認した。
「はい」
「治癒力は、あるんだね」
「はい。そんなに強くないですが」
「いや。あの人数を治癒するのは、普通は無理だと思う」
「そうですか?」
私は首を傾げた。
「我が国には聖女はいないが、治癒魔法を使う魔術師がいる。魔術師が治癒魔法で怪我を治せるのは、10人もいない。でも、君は、20人の怪我を治した」
「いつもしてましたから…」
「お陰で私達は助かった。ありがとう」
「いえいえいえ…」
イケメン隊長さんに改めてお礼を言われて、びっくりしてしまう。
そこへ、騎士団長さんがやってきた。
騎士団長さんもダンディなイケメンである。
「私は、騎士団長のタンザナイトだ。このたびは、3番隊員の怪我を治してくれて、ありがとう」
「あ…はい…」
「国王が、お礼をしたいそうだが、何かほしい物はあるか?」
「いえ?別に…そんな…お礼なんて…」
「聖女の力を使ってもらったのだ。対価は必要だろう?」
「え…そうなんですか?」
今まで、もらってなかったから、驚いた。
「サファイア国では、対価はもらわなかったのか?」
「…神殿はもらってたかもしれないですね…私達は…聖女は清廉で質素でなければならないと言われて…」
「はぁ?」
イケメン騎士団長さんが、呆れた顔をした。呆れた顔もイケメンである。
「神殿に住まわせてもらって、食事も与えられているのだから、有り難く思えって…」
私が言うと、騎士団長や隊長さん、後ろで聞いていた騎士達が言い出した。
「なるほど。許せん」
「聖女こそが大切なのに!」
「聖女の力を使ってもらうなら、衣食住を与えるのは当然だ」
「聖女のお陰で神殿はやっていけるのに」
「出てきて正解だったな」
「この国で暮らさないか?」
騎士団長さんが言った。
「そうだ。衣食住は勿論与えるが、報酬も与える」
ジルコン隊長さんも言った。
「え?」
「報酬をもらうのは当然だぞ」
「そうだ。だから、騎士団にいてくれないか?」
「良いんですか?」
本当に?
「是非ともお願いしたい」
「そうだな…国王に頼んで、永住権を与えてもらおう」
「それは良い」
騎士団長さんとジルコン隊長さんが、話をどんどん進めていく。
「そういえば、その猫は?」
皆で、私の膝で丸くなっている猫を見た。
「聖女様に押し付けられて、猫を連れて、サファイア国を出ていけと言われまして…」
私は言った。
「何だと?」
「神殿で飼っていた猫か?」
「いいえ。野良猫です」
神殿をウロウロしていた。
「野良猫なのか…それにしては人馴れしているな」
「そういえば、いつも、祈っている時に、猫が寄ってきます」
私は、思い出しながら言った。
「聖女の祈りに引き寄せられて?」
「魔物を追い払ったんですよ」
騎士の1人が言った。
「魔物を?」
騎士団長さんが言った。
「この猫が、にゃ〜って鳴いたら、魔物が逃げていきました」
別の騎士が言った。
「…もしかして、聖獣なのか?」
騎士団長さんが、腕を組みながら言った。
「猫が?」
「聖女の力に惹かれるのも、聖獣だからかもしれない」
「なるほど…?」
「では、この猫にも、永住権を与えてもらって、ルビーと一緒に過ごしてもらおう」
「そうしよう」
ジルコン隊長さんが、サファイア国を調べてくれたらしい。
「サファイア国は、大雨が続いた後、瘴気が溜まって、魔物が増えて、大変らしい」
そうなんだ?
「今、この国では、瘴気が少なくなっている」
「やはり…瘴気を払っていたのは…」
視線が猫に集まる。
え?聖女って、聖獣がいなかったら何もできないの?
そうなっているって事は…
そういう事なんだろう。
猫を連れて行けって言ったのは聖女だし。
私と猫は、騎士団で平和に暮らした。
猫のお陰か、治癒の力が増して、騎士団の皆から感謝されたのであった。
ありがとう猫ちゃん!
読んでいただきありがとうございます




