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小説家になろうラジオ大賞7

気性の荒い彼女から雨宿りをする場所

作者: 夜狩仁志

なろうラジオ大賞7 参加作品。

テーマは「雨宿り」

 僕の彼女は気性が激しい。


 生粋のお嬢様で学内カースト上位。

 美人だけど高飛車で自分勝手でワガママ。


 彼女が僕に告白して付き合い始めたのだが……


「一分遅刻よ、何してるの!」

「ごめん」


「早く荷物を持ちなさい!」

「はい」


 この恋人関係?は決して楽しくはなかった。要するに召使いが欲しかっただけなのだ。


 少しでも反抗的な態度をとると


「生意気よ!」  


 と、怒鳴り散らす。


 まるで雷を伴うゲリラ豪雨のように、彼女は気性(気象)が激しいのだ。


 こうなったら手に負えず、自然に収まるのを待つしかない。

 僕は姿を隠し落ち着くのを待つ。


 今日の彼女も機嫌が下り坂。

 嵐が収まるまで図書室で雨宿りすることに。


 受付の女子を除いて無人の図書室。

 席に座り、下校時間まで時間を潰すことに。


 スマホを眺めていると、

「ここは勉強するか読書する場所です」

 と受付の女子が睨んでいた。


「ご、ごめん。ちょっと雨宿りのつもりで」

「そんな不純な動機で来ないでくれますか」

「読書します! なにかいい本、ありますか?」


 すると彼女は読んでいた文庫本を手渡してくれた。


 小説など普段読まないが、意外と面白く読み進み、気づいたら夕方になっていた。


「もう閉める時間です」

「これ、借りてもいい?」

「……私のでよければ」


 この子は隣のクラスのしおりさん。


 これが縁で、頻繁に図書室に足を運ぶことに。

 その都度、栞さんと本の感想を語ったり、お勧めの本を尋ねたりした。


 ここは静かで穏やかな場所。

 どこかでは暴風雨の声が響く。


 そんな日が続きある時、栞さんが言う。


「君は雨宿りしに来たのよね。なら……雨が止んだら帰ってしまうのね」

「そんなことはないよ」


 いつしか僕は彼女からの逃げ場だったこの場所が、安らぎの場所と変わっていた。


 そしてある日、

「こんな所にいたの!」

 彼女が騒ぎながら、僕を探しにここまでやって来た。


「私が呼んだらすぐ来なさいよ!」

「ごめん、気が付かなくて」


 激しく詰め寄る彼女。

 それを遮る栞さん。


「図書室では静かにして下さい」

「あんた、なんなのよ!」


 罵声が響き渡る。


 彼女の「早く行くわよ!」と言う催促に「僕はここに残るよ」と答える。


「あっそ! 役立たずのあなたなんて、彼氏でもなんでもないわよ!」


 台風のように暴れ回って、そのまま去っていった。


「いいの? 追わなくて」

「うん。もう僕の居場所はここだから」


 僕は栞さんと一緒に。


 元カノからの雨宿りのつもりが、いつの間にか僕は栞さんの宿り木となっていたようだった。

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