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第五話 『深層』


壁際の封鎖された面にひっそり隠れた扉を見つけた。


ア「こんなところに扉が。知らなかった。」


それはアーシェンたち家族ですら触れたことのない、父だけが抱える"秘密"へと続く入り口だった。小さな鍵穴には父の残した鍵がぴったりはまった。


『ガチャ』


差し込んだ鍵を回した。両手に力をいれ精一杯扉を押し開けた。目の前に広がるのは地下へと続く階段。


『ビューー』


冷たい空気が下から込み上がってくる。

階段は暗闇の底へと吸い込まれている。


ア「...怖くない。」


アーシェンは虚勢を張った。不気味な雰囲気が恐怖心を煽る。しかし、父への思いが背中を押した。アーシェンはゆっくりと階段を降りて行った。



地下に降り立つと、そこには小さな空間が広がっていた。資料は床に散らばり、文献の多くは破れ、壁には焦げ跡まである。

まるで誰かが"何かを探す"ように、荒らしたようだった。


ア「これ...父さんの...」


アーシェンは部屋の中央に落ちていた古いノートを見つける。

表紙は黒くこげており、縁は破けている。


開けば戻れなくなる。そんな予感がした。


震える手でノートを開く。

そのページには、複雑な文字や図形が並んでいた。しかし、一つの記述がアーシェンの目に留まる。



エインシェントコア(古代コア)---


そこには父の筆跡で埋め尽くされていた。


『"伝説"は存在した。通常のコアとは異なる。"意思"の影響を受けない唯一の存在。"絶対の核"。』


そして次の行がアーシェンの心を掴んだ。


『適合者:アーシェン』


ア「え...」


息が止まりそうだった。確かに自分の名前がそこにはあった。


『エインシェントコアのレゾナントとなった者は"大きな運命"を背負う。』


このページの最後に父はそう書いていた。

アーシェンは思わずページをめくる。


次のページは他のページ以上に焼け焦げ、破れていた。読める部分はほんのわずかだった。

アーシェンは不思議に思った。


ア「誰かが...意図的に?」


何者かが、意図的に何かを隠そうとしたように思えた。かろうじて残された文字が、断片のように浮かび上がる。


『.......エー....闇...........』

『レ...ント...........代償...........』

『.....ヒト........長............侵食』

『..依.....支..配....最終......養......』


それ以外は完全に失われていた。

意味の繋がらない断片が、恐ろしい"何か"を匂わせる。

父は何を知り、何を伝えたかったのか。

そして、何者が、なぜ、このページを消したのか。アーシェンはこのページから目を離せなかった。


ア「父さん、これじゃわからないよ。」


真相に近づいたはずなのに、謎はむしろ深まっていくばかりだった。アーシェンはそっとノートを閉じる。


そのときだった---


『ドクン!』


胸の奥で音が鳴る。それと、同時に


?「アーシェン」


頭の中で誰かが名前を呼んだ。昨日も聞いたあの"声"。でも、今は正体がわかる気がする。


ア「エインシェントコア...?」


"声"は返事をしない。ただ遠くで自分を読んでいるような、不思議な引力がアーシェンの胸を掴んで離さなかった。


アーシェンの胸が強く脈打つ。

父が伝えたかった秘密--

自分が託された運命--

どこかで自分を呼ぶ声--

そして、この世界の真実--


アーシェンはノートを抱え、地下からゆっくりと上がった。



帰ってきた。我が家だ。

しかし不思議と落ち着かない。

家の中には父の気配はもうどこにもなかった。

再び"声"がアーシェンに話しかける。


声「---来い。」


ア「ああ、いくさ。真実を確かめるために。

自分の手で掴みにいく。」


アーシェンは玄関のドアに手をかけ、一度だけ振り返った。


ア「行くしかないんだ。」


自分を鼓舞するかのように呟いた。


『カチャ』


玄関のドアが静かに閉まる

そして静寂に包まれる夜道を、一人で歩き始めた。もう振り返ることはなかった。アーシェンは覚悟を決めたのだ。


自分を呼ぶ"声"を求めて。

父の伝えたかった"真実"を求めて。


---アーシェンの旅が始まった。


第五話『深層』完


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