表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

第一話 『声』

「チリリリリ、、、チリリリリ」

アラームの甲高い電子音が部屋に響き渡る。

窓からは朝日が差し込んでいる。

しかし、ベッドで丸くなっている少年はまるでアラーム音がこの世のものではないかのようにピクリとも反応しない。

「アーシェン!!もう7時半よ!」

ドアが勢いよく開き、母の怒った声が耳に飛び込んできた。

次の瞬間、掛け布団が容赦なく引き剥がされた。


ア「うわぁぁ!さむいよやめてって7時半!?」

「もっと早く起こしてよ」


母「あんたねぇ、、、お父さんみたいなレゾナントになるんでしょ」

「生活習慣を整えないと、、、」


ア「ちゃんと勉強してるってば」


寝癖のついた髪の毛をわしゃわしゃしながら、アーシェンは慌てて制服に袖を通す。

机の上には、大量の付箋が貼られたエーテル史の教科書。

対して、宿題の数学のプリントは昨夜のまま白紙だ。

母は苦笑しながらアーシェンの寝癖を整えながら言った。


母「アーシェン、、エーテル史以外もしっかりやらないとだめよ」

「じゃないとお父さんみたいに、、、」


母の会話を断ち切るように答える。


ア「わかってるよ、、、、」


アーシェンは少し気まずそうに笑った。父はアンリアルコアの適合者であり、歴史学者だ。

毎日研究漬けだが、歴史を紐解くその姿はアーシェンの憧れそのものであった。


ア「お父さん、今日も朝から研究?」


母「ええ、昨日も遅くまで戻らなかったから、、、、また古代記録の調査でもしてるのかもね」


ア「そっか、」


食パンを咥えたまま靴を履き、アーシェンは玄関を飛び出した。


通学路に並ぶ透明な柱。街の中心に聳え立つ巨大エーテルの柱が朝日を受けて、淡い光を放っている。


ア「今日も綺麗だな」


アーシェンは見惚れながら歩く。この世界ではエーテルは空気と同じくらい当たり前に存在している。しかし、エーテルと共鳴し、操ることができるのはレゾナントだけだ。

だからこそアーシェンは憧れている。

父のように世界の理に触れられる人間になりたいと。


その時だった。


?「アー、シェン、、」


風のない朝。周囲には誰もいない。

なのに、耳元で囁かれた気がした。


ア「え、、、、、、、、」


立ち止まった瞬間、視界にノイズが走りる。世界が一瞬揺れたように感じた。


?「見つけた、、、アー、シェン、、、、」


ア「誰だ!?」


胸の奥がざわつき、急に冷たくなったように感じた。確かに声は聞こえたのに、方向も姿も分からない。ただ、"呼ばれている"と言う感覚だけは、はっきりと残った。


ア「気のせい、、、、じゃないよな?」


アーシェンは振り向きながら小走りで学校へと向かった。


この時はまだ知らなかった。

この"声"が、今後アーシェンを導くこと。

この"声"が、アーシェンの運命を大きく変えることになると。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ