4.5インタビュー 水泳コーチ
初めて会った時、この子は天才だと思いました。
なにせ水泳未経験にも関わらず背泳ぎを除く三泳法ができていましたから。
ただ、後に指導する中で分かったのですが『水泳の天才』というよりは『とにかく賢い子』というのが正解でしたね。
どのスポーツでもそうでしょうが、水泳にもキチンとした理論があります。
物理的に、どの様なフォームで泳げば水の抵抗を最小限にして強い推進力を得られるか。そのために全身の関節や筋肉をどう使うべきか……そう言ったものに関する理解が抜群に良かったですね。
特に上半身。
背中と肩甲骨周囲の使い方は抜群に上手でした。そう言えば、始めて割と早いうちにその辺を鍛える陸上でのトレーニングについて質問してきましたね。きっと、その内容を家でも相当やりこんでいたんだと思います。
ちなみにその時、初めは雲梯を勧めてみたんですよ。校庭にあるから沢山やりなって。そしたら『毎日やってます』って(笑)。
だから次は選手向けの簡単なものを伝えたら『すみません。それはもう知ってるので、もう少し上級者向けのを教えて欲しいです』って……なんで知ってるのかって聞くと、昔に自分で勉強したからって言うんですがキミまだ小一だよねって(笑)
すぐにキッズコースを卒業して選手コースになりました。ただ、彼は試合でタイムを出す事には全くこだわっていない様子で……
『記録会にはでません。だって、移動距離も長いしその日は少ししか泳げませんから……個人競技だから誰にも迷惑をかけないし、別にいいですよね?』
そう言ったんですよ。小学校低学年の子供が。
じゃあ、なにを目標に水泳やってるんだと突っ込みました(笑)。日々の練習では誰よりも追い込んでへとへとになるまで泳ぎ込んでいましたから。
そしたらなんて言ったと思います?
『野球選手になるための体力づくりです』
いやー、その時はなに言ってるんだって思いましたけど、彼には明確なビジョンがあったんでしょうね。だから今、大活躍しているのでしょう。
あのまま続けていれば?
これ、彼が小学校六年生の時に練習で出した個人メドレーのタイムなんですが、これってジュニアオリンピックに出る子供達と遜色ないんですよ。
ジュニアオリンピックに出る様な子って、土日は午前午後と泳いで週8回練習というのも珍しくないんです。なのに、彼の場合は週に二、三回の練習で達成しています。しかも彼、身長と体重は平均的でしたからね。
それだけ密度の濃い練習をしてきたわけですから……中学、高校も本気で水泳に打ち込んでいれば水泳でも一流になっていたでしょうね。
ええ、オリンピックも狙えたと思います。
選手コースの子供は平日も3キロ泳ぐ?!?!
うそやん、私300mでお腹いっぱいよ?
次回投稿は1月28日です




