35.ここか-さて、と。じゃあやってしまおうか-
全46話予定です
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カズが研究所に戻った時にはゼロゼロ、ゼロワン、ゼロファイブの三体が整備ドックに入っていて、今まさに修理の真っ最中というところである。そしてその脇に寄せて積まれた部品の山が目に入る。つい先日、本州から運び込まれた補充の三体である。そのドックの片隅にはレイドライバーの本体が装甲を付ける手前で何体か置かれている。前回の補充で使用されなかった一体と、スリーワン、スリーツーを作成する際に[予備部品でまだ何体か作れれば]というカズの意向によって作成されたものである。
ここの整備ドックはそのまま地下演習場とも繋がっていて、何ならレイドライバーの部品単体だけで演習場でテストをし、直ぐに整備ドックに戻って取り付けを、等というのも出来る。それくらいのオープンワールドに出来ているのだ。逆を返して言えば、荷物置き場としては心配がないくらいの面積を誇る、この研究所でも最大の設備である。そしてもっと言えばこの研究所の玄関も兼ねているのだ。
そんな設備だから、この研究所を作るにあたっては細心の注意が払われたのは言うまでもない。
先の話ではないが、車両群はそのまま研究所の地下駐車場へと行けるように出来ている。この地下駐車場だって、作る際には地上にわざわざダミーの工場のようなものを作ってから工事に取り掛かったのだ。そしてその工場は完成後もそのままにしてある。だから、研究所に来た車両というのは工場に入る[てい]で建物内に入っていくのである。地上部のダミー施設は人が常駐していて、まさに工業製品を出荷するかの如くレイドライバーの車両を出し入れしているのだ。
この辺り一帯は元々は何もないところだったのだが、カラの住居を何軒か作ってその中に本来の建物を建築するという、何重にもダミーを重ねて作られている。それももちろん偵察衛星を警戒しながらである。
そして急増にならないように徐々にその軒数を増やしていったのだ。
帝国はこの場所の存在を知らないはずである。仮にもし知っていたら爆撃やミサイル攻撃のようなものが飛んでくるだろう。前線基地のある地方に研究所を作るというのはそれほどに危険が伴うというのをこの例からしても示している。
だがそれ以上にメリットが存在するからこそそのようなリスクを負っているのだし、そうせざるを得ないという事情もある。
それはずばり、カズがレイドライバー部隊の隊長をしていて実戦の指揮をしている傍らで、研究所の所長として統括しているからである。実験的なシステムや武器が出来れば直ぐ近くにレイドライバーの運用拠点があればそれはタイムラグを置かずに試験が出来る。何なら作戦行動時に実装できるのである。
その好例が今回のグランビア戦と呼べる戦闘行為への無人機の投入である。流石に前線ではなく、ゼロシックスと共にアルカテイルの防衛任務に就かせたのだが、それでもこの無人機を操っていたのは紛れもないカズなのである。そこにはサブプロセッサーも存在していない。そんな実験が実戦として直ぐに試せたのは、それを可能としている施設、つまりは研究所が傍にあるからに他ならない。
それくらいに研究所と前線との距離は近いのである。
カズはそんな中、整備ドックに降りていく。そこではそれぞれ分解されたレイドライバーの機体が修理を受けている。それぞれ行きかう職員が挨拶するのに合わせてカズも挨拶を一通りしてから、
「ここか」
ゼロファイブの機体の前で止まる。
もちろんゼロファイブも前面と背面の両側のパネルが既に取り払われている。何なら側面の装甲も作業のしやすさとチェックの為だろう、外されてフレームが見えている状態だ。
――さて、と。じゃあやってしまおうか。
カズはそう思いたつと、現場で作業していた整備士に、
「この機体のサブプロセッサーに話があるんだけど」
と問う。もちろん[イヤです]等とは誰も言うはずがなく、
「機体に取り付けたままでも良いですか?」
と聞かれる。そんな整備士たちに、
「ああ、いいよ。チャットで話をするから」
文字チャットで話が出来る、これもサブプロセッサーならではなのだろう。生の[ヒト]には無理な芸当だ。
整備士たちはその言葉に反応したのか[やはり、取り外しましょうか?]と言ってくるが、
「大丈夫、そこまでの秘密ではないから。ただ、ちょっと身の上話をね」
――したいだけなのさ。
そしてカズが持って来たタブレットはケーブルに繋がれてゼロファイブのインターフェースへと繋がれたのである。
[おはよう、ゼロファイブ。起きてる?]
そんなくだりから話を始めた。
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