31.ゼロフォーは完全無人機の可能性について言及した-これは意外な盲点だった-
全46話予定です
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「と、まあ色々あったんですが、命令系統は一つにしないと本人、サブプロセッサーも含めて使い物にならなくなるというのは良く分かりましたよ」
と、アイザックとの話に戻って来るのである。
「それで、ゼロフォーは完全無人機の可能性について言及したんですね?」
アイザックだ。彼にしてみてもこの結果は意外である。それはつまるところ[脳みそを取り出してコンピューターを取り付けてレイドライバーに放り込めば遜色なく戦える]と言っているのである。
「そう、これは意外な盲点だった。何しろ、研究者である自分たちは実際にサブプロセッサーとして生活している訳じゃあないですから。それに、あのゼロゼロをしてもその着想に至らなかった。子宮から来る[子供]からの感覚をまったく受けずに操縦、なんてのは我々からすれば[何を言っているんだ]という話になりますからね。正直な話、ナンセンスと考えていた。ゼロフォーが報告してくれたのは、自分で今の研究を主導しておいて耳が痛い話ですよ」
それほどに今回の戦闘の成果というのが大きかったのだ。もちろん、スリーツーの自爆のあと、マリアーナが自力で立ち直って操縦桿を握っていたらこの結論は導き出せなかったのだ。そういう意味では自爆の時点でマリアーナがショックを受けたのが幸いした、そう言えるだろう。そんな偶然から発見された事実なのだから。
ゼロフォーを送り出して、自身も研究所に向かおうとするその最中、つい先ほどまでそんな戦闘データを参照していたのだ。そこには確かにほんの少しのラグはあるものの、ほぼ狙った通りに機体が動いているという事実が、ゼロフォーの思考ログと共に提供されたのだから。
「詳しくは、そちらでもゼロフォーの戦闘データと思考ログを同時に走らせてチェックしてみてください。オレが見た限りでは、これは使い物になると感じましたから」
とカズが言えば、
「所長をしてそう言わせるだけのデータがあるのでしたら。もちろん複数人でチェックはしますが、これは意外でしたね」
アイザックも驚きを隠せない。
「それにゼロツー、ゼロスリーともに幾度も戦線を経験したサブプロセッサーです。その辺りの応用は新人のサブプロセッサーよりも心得ているはず。だったら」
サブプロセッサー単独での運用をしよう、子宮に相当する[器官]も、現在のレイドライバーの各所に配置されている[子供]も設置しない、純粋な機械だけの機体に乗せよう、そう言っているのである。
「そして、比較対象となる個体も用意しないといけない。それにはゼロファイブを当てようと思います」
ベテランと新人。その差異がもしも無ければどうなるか。それはサブプロセッサーを作成後に直で単独運用、なんてのも考えられるのだ。
「だからと言ってそのまま即戦線に、とは流石に考えていません。まずは最近新設したエルミダス基地の模擬試験スペースで模擬戦闘を行いデータを取る。そこで良好であれば当初の案通りに実戦配備をしよう、と」
これだけレイドライバーの数が増えてくると、研究所だけでテスト、調整などをすべてこなすのはオーバーワークである。だからそれら業務の一部をエルミダス基地に新設して、そこで行っているのである。
戻すと、確かにこれなら現実可能であろう。
「すると、パイロットの数は一名余るほどに確保出来ましたね。あとはサブプロセッサーですが。現状五個と三五FDIの二個の計七個が必要ですが、三期生すべてに機体を充てればすべて足りますが」
とアイザックは現実の数字を出してくる。
そう、これですべては足りる計算なのだ。だが、
「ちなみにレイドライバーの余剰部品でもしも何体かを組む、となったらどうですか?」
と問う。その問いには、
「古い部品もカウントされるのであれば……二体か、三体かは行けるか、と」
アイザックは多分手元にコンピューターの端末を用意して会話をしているのだろう、カタカタという音と共に少しの間が空いてそんな結論が出された。
「ちなみに、今そこに[襟坂]博士はいますか?」
とカズが問うと、
「隣の部屋で研究をしていますから、呼べば直ぐに来られますが」
多分、アイザックは中央室からアクセス出来る通信室で話をしているのだろう。[隣の部屋で]というのは、つまりは中央室を指しているはずである。
「ちょっと呼んで、事の事情を話してもらえませんか?」
カズはそう伝えた。
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