26.ゼロファイブにはオレが伝えます-これでパイロットが一人失われてしまった-
全46話予定です
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「それはサブプロセッサーとしても不適だったと?」
相手の声はアイザックだった。
――まぁ、当然まず真っ先に、死亡する前にそれくらいは確認してるとは思うけど。
カズはアイザックを信頼しているし、現在は[襟坂恵美]が付いている。そのチームをして死亡という現実は、
「検査の結果、脳挫傷も発見されたので。このまま回復は見込めないと判断しました」
つまりは自然に死亡したのではないというのを意味している。
「クスリで?」
と聞けば、
「バルビツール酸誘導体を用いてこちらで」
と返って来る。
その判断は事前にカズに一言あってもよさそうなものなのだろうが、だが逆を返せばそれだけ現場判断が信頼できるという話にもなる。事実、延命目的だけならいくらでも可能だろう。研究所にはその設備が備わっているのだ。それこそ大病院並みの、もっと言えば大学病院を軽く超えるくらいの[経験]を持った医師が複数いるのだから。その彼らをして死亡させたというのは、
「分かりました。ゼロファイブにはオレが伝えます」
――さてと、これでパイロットが一人失われてしまった。
そこに同情の感覚が無いか? と問われれば、確かに悲しいという気持ちは持ち合わせている。それにそもそも作戦行動中に致命傷を受けたというのは、それはカズに責任がかかって来るのは事実である。それはどの作戦においてもそうだ。人が死んだからと言って作戦失敗、とはならないのである。当然、犠牲というものはつきものなのだ。
カズは部隊長である。そして研究所、つまりはレイドライバーという兵器を製造し、供給している元の責任者でもある。感情と冷静さの切り分けは出来ているつもりでいる。それは何百という被検体の死を見てきたカズだからこそ出来るのかも知れない。もしもこれがアイザックだったら何というか。
おそらくは、それはアイザックでも同様の態度を示すだろうし、同様の思考に落ち着くだろうと推測される。それほどこのレイドライバーという兵器は最新をいっているという事の表れなのだろう。
そして、研究所の人間でなくとも人の死というものに関する組織の上に立つ者、犠牲から目を背ける事は出来ないのである。そういう意味ではカズは冷静だ。
だから、
――三期生はパイロットが四名いる。つまりは二体余る訳か。
という冷静かつ次の判断が出来るのである。
現在、三体の補充に予備機が一体、それにゼロワンとゼロファイブ。合計六体の機体にパイロットがいない。
確かに三期生は優秀だ。前倒しで二人のパイロットを選出したにもかかわらず四名という仕上がりを見せた。サブプロセッサーだって七個もある。
――んー、これって。
カズは何かを考えている。それはもちろんこれからの事なのだろうが、
「アイザックさん、すべての機体の準備は整っていますか?」
と尋ねたのである。
その問いに、
「もちろん届いた分から順に仕上げていっています。現在はまだすべての機体を[形]には出来ていませんが、急がせれば一両日中には、何とか」
つまりはパイロットやサブプロセッサーの頭数さえそろえば近々、ほぼすべての機体を実戦配備まで持っていける、と言っているのである。
――おお、それはそれは。
「ちょっと考えがあります」
カズはそう切り出した。
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