24.ゼロフォーは、一時は危うかった-この戦局は最善の選択をしたし、なせたのである-
全46話予定です
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その後、時をそんなに置かずしてゼロフォーたちが帰って来た。もちろん、スリーワンもである。
それを確認してカズは、
「ゼロツーとスリーワンの機体を研究所に送ろう。きみにはその付き添いを」
と、先ほどまでカズと話していた整備士を指名してそう伝える。それは直ぐに[分かりました、ではそのように]という相手の言葉と共にすぐさまトレーラーに移されて移動を、となった。
「さて、マリアとゼロフォーはお疲れ様だったね」
と声をかける。こちらの機体に関して言えば無傷なので、そのままアルカテイル行きになるだろう。今現在、アルカテイルの防衛はワンワンとワンツーの二体で賄っている状況だ。ゼロシックスも存在はするが、レベッカは未だ傷が癒えていないのを無理やり出した、という側面がある。だから、そこに無傷の機体があるのであれば直ぐにでも前線へと送らねばならないのは言うまでもないだろう。
――流石に今の今で侵攻はないだろうが。
帝国とてバカではない。自分たちにも相当の被害が出ているのに侵攻というオプションは取らないだろう。それにこちらは[お土産]まである。少なくともその[お土産]を帝国に返すまでは表立っての行動は差し控えるだろう、というのがカズの見立てだし同盟連合の見立てなのだ。
――その為の戦利品だからね。
「いえ、マスター。今回はお役に立てて良かったですの」
とマリアーナが言えば、
「私に課せられたタスクはこなせたと思います」
とゼロフォーが続く。
ゼロフォーは、今回で言えば一時は危うかった。その危うさは、ゼロツーがその身をもって体験したのであるが、もしもカズが空中の可能性を見いだせずに、そのまま撤退を指示していたら? おそらくはゼロツーの命はなかっただろう。それどころか相手側が逆に優勢に立っていたかもしれない。もっと言えばゼロフォーたちだってどうなっていたか。旧トルコという、
軍事的にも重要な大陸とアフリカを繋ぐ回廊を明け渡してしまう結果にも繋がっただろう。それがどういう意味を示すかは前述のとおりである。大陸、アフリカ双方に晴れて軍事物資が往来する結果となるのだ。
今回カズは交渉事に持ち込んで今回の戦利品を得たのだが、それは同時に逆もありうる、という点である。いわば帝国が同盟連合の機体を拿捕、という可能性があるというのを示してしまっているのだ。まぁ、もしもそんな可能性を考えてみてもそれは無い、と言えるだろう。その為の自爆なのだから。同盟連合はその辺りは非情になるだろう。それは帝国よりも先んじた技術があるからだ。
だからだろう、こうして無事に戻って来ただけで御の字、とカズに思わせるほどにはこの戦局は最善の選択をしたし、なせたのである。
今回、カズはその交渉術で相手のレイドライバーの拿捕という大戦果を挙げた。これはまたとない機会である。もちろん、同盟連合にない技術を盗み見るのが目的なのだが、一番の興味は生体コンピューターとレイドライバー本体の構成部品である。
帝国は現状で言えば同盟連合より最大で一.五倍ほどのペースでレイドライバーを製造してきている。その製造ペースの秘密を知ろうというのだ。
――スリーツーの話は……触れない方が良いのかも知れないけど。
とは言うものの、まったくスルーするのも会話としておかしくなってしまう。当然、カズはゼロフォーに経過報告を求めるし、その中でスリーツーの話が出ない訳がない。
「じゃあ、報告を」
カズがそう促すと、ゼロフォーは一部始終を要点を押さえつつ話した。もちろんその中にはスリーツーの話も出てきたし、マリアーナが一時的に戦闘不能に陥った話も。
「という話を聞くに、スリーツーはゼロフォーを庇って被弾した、と。そうか、それだけ仲間意識が強かったんだろう」
カズは敢えてぼかした表現で留めた。そこで[実際どうだったの]等と話を掘り返してみても、それはふさがり始めたかさぶたを指で引っ掻くようなものだ。現に、報告の最中はマリアーナは一度も話をして来なかった。
――今回はこれで終わらせよう、と思ったけど、ちょっと待てよ。今はアルカテイルに一体でも多くの戦力が欲しいのは事実なんだけど、ここはひとつ。
カズはそう思いながら少し話を続けた。そして[ちょっとした]事があり[じゃあ、早速でなんだけどアルカテイルに向かってくれ]と[ゼロフォーたち]を送り出したのである。
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