21.ゼロフォーたちが最後の便-カズは、研究所からエルミダス基地へと移動する-
全46話予定です
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それぞれが相手をけん制しつつも、上官に言われた通り双方一発も弾丸を打つことなく撤収へと向かった。
ゼロフォーはスリーワンがゼロツーに肩を貸しながらローラーで戻って来るのを見届けてから、例の[戦利品]をトレーラーに乗せて運ぶよう指示を出した。
拠点となっていたこの地には、研究所付きの整備士がいたのでその人間が付いて行って一緒に船で帰る、という算段になったのだ。どの道、ゼロツーの修理はここでは不可能である。それは現物を見れば誰しもがそう思うだろう。何と言ってもコックピットハッチとトリシャの身体の隙間はほぼ無い状態、当然ハッチも開けられない状態だ、だからこちらは輸送機を手配した。レイドライバーが搭載できる輸送機である。
それはじきに到着したので、ゼロツーの機体を皆で何とかハッチから入れて離陸、空の人とさせた。
空の人と言えば、カレルヴォ大尉とサンド大尉含む今回の遠征組はそのままアルカテイル基地へと帰還する運びとなった。半年の停戦が実現した現在、貴重な最新鋭の戦力をわざわざここに置いておくわけにもいかない。それに、この停戦は必ず守られるはずであると同盟連合だけならず、その場にいる敵味方関係なく誰もが信じている話なのだ。
それは言うまでもなく[戦利品]、つまりは帝国製のレイドライバーの存在である。もしも帝国が何か手出しをすれば、必然的に機体の保証は無くなる。それでなくともレイドライバーを一体を作るのにどれだけの労力とコストがかかるか。
更に言えば、しばらくの火種である戦闘はないであろうとも予想が立てられる。それは[戦利品]の他に、帝国にしてもレイドライバーを四体も失っているからである。もちろん同盟連合にしてもそれは同様でスリーツーの撃破だけでなくゼロゼロ、セロワン、ゼロツー、ゼロスリー、ゼロファイブそれぞれが被弾、モノによっては今後の運用にまで関わって来る被害を受けた。
旧トルコに関して言えば、確かに戦力の増強が求められるが、先ほどの話ではないが、少々時間が稼げたので補充は間に合うだろう。
そしてゼロフォーたちが最後の便となったのである。
それぞれを待つカズは、まずは研究所からエルミダス基地へと移動する。その際、研究所付きの整備士を同伴させた。もちろん整備士とて無尽蔵にいる訳ではない。それでなくとも修理に入って来ている機体が多いのが実情なのだから、普通に考えればそこからさらに人員を割くというのは難しい。それでもそうせざるを得ない理由が存在する。
一番はトリシャの救出である。彼女は現在、コックピットの中でどうにか生きているような状態だ、まずはこれを何とかしたい。研究所まで運んでもよさそうなものだが、そこはそれ、エルミダスでも分解整備は可能だし、何ならサブプロセッサー周りだけでも研究所から連れてきた人間にさせればいいだけの話である。それに、エルミダス基地というのは第一世代を運用していた、まさにその場所である。当然、秘密に関する施設、設備が整っているというのがまずある。
カズたちがこの地を奪還してから既に四年、当時はまだ[仮設基地]というていが大きかったのだが、一つ建物が立ち、二つ施設が作られして今は立派な設備を備えている。当然、レイドライバーの重整備もここなら可能だし、何なら奪還当初からあるプライベートルームで誰それの[お仕置き]だって出来る。
現にマリアーナやレベッカも研究所で手術は受けたものの、その回復はここエルミダス基地で行っていたのだから。そういう意味でもこの地は後方とは言うものの、絶対に落とされる事の出来ない土地でもある。
そんな土地に、カズの姿があった。理由は多数存在する。
まずはゼロフォーの出迎えというのが一つ。彼女からは色々と聞かなければならない。それにゼロツーの修理、というかパイロットの救出というべきか。トリシャは現在、コックピットの隙間に挟まれた状態でやっと生きているという塩梅なのだ。さらに言えば例の戦利品の分析である。これは流石に研究所へは持っていけないシロモノだ。
もちろん、カレルヴォやサンドたちにも会う必要があるだろう。だが、それはこの話が終わってからでいい。
まずは目の前の話を片付ける、それがカズの役割なのだから。
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