16.何、同盟連合からの話し合いだと?-これで手打ちにしては頂けませんか-
全46話予定です
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「何、同盟連合からの話し合いだと?」
クロイツェルは少し驚いたが、
「もしかして、相手はレイドライバー部隊の隊長か?」
と問い返せば[カズ中佐という方のようで]と返って来る。
――本当に嫌な相手が出てきたな。本当に我が軍に是非とも欲しい存在なのだが。
クロイツェルはそう考えたが、今はそんな事も言っていられない。
「回線を繋げ」
部下にそう指示して回線の準備を待っている間にパタパタと考えを巡らせる。どのように交渉を持って行って、どのあたりで着地点を見つけるかを。
今回、航空部隊は四分の一まで減ってしまった。虎の子の新型戦車部隊もまさかの爆撃でやられた。どうやら空にはM三一DIが二機いるから大丈夫、とたかをくくったのが間違いだったようだ。
そしてレイドライバーは二対二のイーブン。相手の航空戦力は健在、と来れば。
――まぁ、停戦交渉だろうな。
くらいには考えが回るし、何某かの要求をしてくる、そしてその要求は最終的に飲まないといけなくなるのも見えている。
ならばここで戦いを続けるか、と言えばそれは蛮勇に過ぎる。ハッキリ言って愚策でしかない。相手は航空戦力を温存しているのだ。その気になれば援護だって可能だろう。
そんな考えを巡らせていると、
「カズ中佐であります。クロイツェル参謀閣下でおられますでしょうか?」
と来たので、
「そこまでかしこまらなくてもいい。クロイツェル参謀とでも呼んでくれ。で、貴殿の話を聞こうではないか」
こんな状況でもクロイツェルは不機嫌ではない。かといって自棄になっている訳でもない。例えるなら、チェスでもやっているかのような、そんな感覚でいるのだ。もちろんそのコマは実の人間で、実際に弾丸を喰らえば死者が出る。それも大規模作戦になればなるほど死者の数は増える。
しかしながら、その一人一人に向き合っていたのでは、とてもではないが作戦参謀などという職業は行えない。それにクロイツェルは軍の最高責任者だ、言葉は悪いが[一人一人の命に一喜一憂していては務まらない]職業でもある。
相手は、
「では参謀殿、単刀直入に言います。これで手打ちにしては頂けませんか」
と来た。そんな相手に、
「なかなか見事だったな。旧トルコにグランビア、か。これは、見るに一勝一敗と考えていいのかね」
と尋ねてみる。すると、
「ええ、グランビア戦ではこちらの被害は、まぁそれなりにありましたよ。そちらにも被害が出ているようですが、これは一本取られましたね。しかし、旧トルコ戦においてはこちらの勝ち、という事で」
相手の声は前に聞いた通り、少しだけ高めのトーンだが耳につくようなものではない。そしてその態度は、驕りもなければ妥協もしない。決定的なのは、こちらに手札を見せないという厄介な相手だ。
「きみとは本当に一度ゆっくり話をしてみたいものだよ。で、我々はどのようにすればいいかね。グランビアから突撃させても四つ足がいるからな、本当にきみたちは中々厄介な兵器を考えたものだよ」
ちょっと揺すってみるが、
「いえいえ、突撃などされたら被害多数ですよ。もちろん、そちらも相当の被害が出るでしょう。そうなって一番喜ぶのは誰かご存じで?」
――そう、我々は二国だけではないのだよ。
共和国。帝国と同盟連合が戦っているすく傍には常に共和国がいるのだ。
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