15.やっぱりゼロフォーは卓越している-ゼロフォーも不安定にさせるのは-
全46話予定です
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カズがその連絡をもらったのは、新型戦車部隊を無事に殲滅し、空戦中の敵機、とりわけM三一DIを落としたという頃である。
――やっぱりゼロフォーは卓越している。その彼女に色々と動揺を与えるのはやっぱりマズい、よなぁ。
カズはふとゼロフォーの身の上の話を思い出していた。
難民というものは、それだけを見れば住所不定なのだから、行方を追うのはかなり難しい。だが、手掛かりがないとは言えない。各州の、つまり昔で言う所の国境の検問所を通る際に記録が残る。そして、そこに記録が残ればある程度足取りをたどる事は出来るのである。
もちろんすべてがそう上手く行くわけではない。人売りなどの非合法な越境は図りようがないのが事情だ。だから、裏の顔を持っている人間に人探しを依頼したのだか。
ゼロフォーに関して言えば、どういう経緯でここまで来たのかは分かっている。そして、その道中で両親をどのように亡くして、兄をどのように失ったかも。
確かにゼロフォーは、
[私は昔の記憶を持っていません。欲しいか? と問われれば必ずしも欲しい、というのでもないのですが、少しだけ自分のルーツを知りたいとは思います]
と言っていた。その言葉に対してカズは、
[あぁ、きみは本当の意味で成長し始めたんだね。今までのきみとは全然違う。それでいて今までの優秀な部分は少しも変わっていない。それはとても素晴らしい事なんだ。きみの過去についてはある程度までは追っているし、現在も実は調査中なんだ。ただ、難民だったというところまでは掴めている。もしも分かったなら教えてあげるよ]
と言った記憶が残っている。
――しかし、なぁ。マリアに続いてゼロフォーも不安定にさせるのは、なぁ。
そんな思案をしていたそんな矢先に[帝国の新型戦車は全滅、敵のM三一DIも全機仕留めて航空戦力もこちらが優位に立った]という情報が流れてきたのだ。
ちょうどその頃である。現地の総合司令所から、
「これからどう戦えばいいか?」
と打診が来たのだ。
それは上層部からの事前通達があっての話なのだ。レイドライバー部隊が出張る戦闘区域は実質的にレイドライバー部隊の意向が反映される、そういう仕組みになっているのだ。必然的に機械化部隊はその指示の下で動く、そんな構図が出来上がっている。もちろん不満もあるだろう。だが、目の前で戦車部隊を難なく屠ってしまうのを目の当たりにすると、当の本人たちも言葉が出て来なくなる、現にそういう実績を作って現在に至っているのだ。
カズが司令所に、
「航空戦力は?」
とカズが問えば、アルファ隊が善戦して敵戦闘機の大半を落としたらしい。どうやらまたカレルヴォ大尉の株が上がった、というところなのだ。
――やっぱり、ゼロフォーには黙っておくべきか。今、ゼロフォーに崩れられたらかなりの痛手なのは間違いない。このグランビア戦で部隊も大分引っ掻き回された、とりあえずの立て直しも必要だし。
とカズの中で話がまとまったところで、
「帝国と話をしてみたいと思いますので、とりあえず待機して頂けますか」
と言って、部隊の進行を一時停止したのである。
カズは回線を開いて同盟連合の上層部に自分が考えている内容を話した。
この頃の上層部はカズの事を高く買っている。その証拠に、
「きみがそう言うならこちらも止めたりはせんよ。しかし、よくもまあそんな考えが出てくるものだ、と少しばかり感心しているところだ。これが終わったら昇進も考えている。きみは既に我が軍にはなくてはならない存在なのだからな」
とまで言われてしまうのだ。
そんな一致した了解を得たうえでカズは、
「では、帝国のクロイツェル参謀とお話がしたいのですが」
と切り出したのである。
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