14.えっ、新型が、全滅?-これって一気にこちらが不利になったんじゃあ-
全46話予定です
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待機を命じられていたイリーナたちであったが、味方である新型戦車群が空爆にあって全滅したという知らせを聞いたのは、トリシャたちが不自由な脚部をどうにか固定してようやく戦闘区域から離脱を始めた頃だった。
――えっ、新型が、全滅?
イリーナは正直驚いていた。と同時に水平方向には敵なしの戦車だが、戦車という形状に目が行かなかった自分にも驚いていた。
「確かに、航空戦力には戦車部隊は無力です。直前まで送られてきたデータを見るに、相手の航空部隊は新型が指揮していた可能性が高いですし」
シュエメイがそう無線で話す。
――敵は、我々の新型機を、数で圧倒されているという状態を敢えて作ってでも味方のレイドライバーを助けた、というの?
疑問だらけだ。敵レイドライバーが一体その場にいても、こちらの砲弾を集中的に浴びていたのは情報として入って来ている。ライブカメラのデータが送られてきていたからだ。見た限りでは撃破はほぼ確実だろうというところまで持って行った、しかしその後のカメラデータが来なかったのだ。前後の他の車両との無線のやり取りから、どうも空爆を受けたという状況なのが分かった。
では、もしも立場が逆で、イリーナやシュエメイがその場で任務にあたっていて敵の新型戦車に襲われたら? 味方機は上空の相手に手一杯という状況でそんなシチュエーションに陥ったら、果たして味方の戦闘機は助けてくれるだろうか。
それは間違いなく、ノーと言わざるを得ないだろう。それは、いくらこちらが貴重なレイドライバーという戦力であったとしても、拮抗している航空機を回すという発想には至らないからだ。天秤に諮ればどちらが重いかなど容易に想像がつくというものだ。
「どうも向こうには我々には推し量ることのできない技術、それに人材がいるのかも知れません。敵レイドライバーの指揮官と思われる機体、そして新型機を敢えて戦線から外して味方の救助に当たらせたという指揮をした人間。それらは帝国にはない人材です」
シュエメイがそんな話をしてくる。それは相手がイリーナだけだからなのだろう。もしもこれが大規模部隊で待機していてそんな話をしたら何と言われるか。それほど帝国という国は自由がないのである。
――もしかして、これって一気にこちらが不利になったんじゃあ。
そんなことを考えていると、M三一DIがすべて撃墜されたという知らせが届いた。通常型のM三一も次々に撃墜されているところを見るに、相手の最新鋭機は最低でも一機は無事なのだろう。
そんな事をしている間にも次々とこちらの劣勢を伝える無線が入る。
「中尉、どう、しましょうか?」
シュエメイが尋ねてくる。その声は明らかに動揺している。それは無理のない話だ、いくら戦闘を数度経験したとはいえ、まだ新人の域にある彼女には圧倒的に場数が足りない。
そんな中、
「どうやら形勢は一気に逆転してしまったようだ。新型の陸上部隊を出すにあたって、もう少し注意深くすべきだったな。まさか形勢が不利になっても航空部隊の援軍を回すとまでは考えが及ばなかった。これからの参考にしよう」
そう無線で語りかけてきたのは、クロイツェル参謀その人だ。
「参謀殿、我々はこれから如何しましょうか?」
イリーナがそう尋ねると、
「このままでは対レイドライバー戦になる可能性が高い。一体はほぼ仕留めた。残るは二体。こちらも二体。さて、どうしたものか」
その[どうしたものか]に含まれる言葉は、多文に[戦闘になって勝てるか]という意味合いが含まれていのだろう。
風はまだどちらに吹くか分からない、そんな状況なのである。
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