表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/46

10.いいから避ける事に集中しろよ!-ああ、私はおかしくなってしまったんだ-

全46話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 こちらが撃った弾丸はもちろん相手に当っていく。側面射撃というのもあって当たった敵車両はその場で動けなくなっていた。


 だが、敵戦車の機動力は素晴らしいものがあった。すぐさま車体をトリシャの機体に向けると発砲を始めたのだ。敵の新型戦車の総数は先の戦闘で一両失われているので十一両、随伴車両は除くとしても行動不能に持って行ったのが三両。


 残りの八両が一斉にこちらに向けて発砲したのである。遮蔽の岩は何発かは防いでくれたものの直ぐに崩れ落ちた。ホログラムもかけてはいたが、こちらのマズルフラッシュはもう既に検知済みだ、となれば位置くらいは特定できるたろう。


「とりあえず動くよ!」


 ゼロツーがトリシャに言うと、彼女も機体を別の遮蔽に持って行こうとする。


 そこまでだった。


 次々にリアクティブアーマーに被弾する。小型のミサイルも含まれていた。リアクティブアーマーが用をなさなくなるのにさほど時間はかからなかった。一発、二発。


 次々に被弾していく、その様に、


 ――あぁ、私はこのまま……嬲られて死んでいくのだわ。


 機体は動かしているものの、その思考はある意味で悦に入っていたのである。


 圧倒的な敵の火力によって、自分は無様に被弾して動けなくなり、無防備にも周りを囲まれて、嬲られるように死へと向かう。今のトリシャはその結末が見えているから、その過程に上気してしまっているのである。


「おいっ、トリシャっ! いいから避ける事に集中しろよ!」


 ゼロツーの声はもうトリシャには聞こえていないように見える。


 ――あぁ、もっと、もっと私を踏みにじって。


 痙攣にも似た上気、それが続いていた。


 頭部が吹き飛び、右上腕が機能しなくなって脱落し、もう片方の腕部も肩に被弾して動かなくなった。両腕という武器が無くなれは、次はコックピットだ。弾丸が、大砲の弾丸が一発、二発。


 既に戦闘能力は喪失していた。脚部も片方に被弾している。例のミサイルが使われていた。もう既に、あと何発か主砲を喰らえばコックピットの中の人間は死に至るだろう。現に正面ディスプレイは砲弾による破損で使い物にならなくなっていた。辛うじて損傷を逃れたサブディスプレイには警告の列がずらっと並ぶ。コックピット内にずっとアラートも鳴っている。コックピットの、割れた前面ディスプレイとトリシャの躰との隙間はほぼなくなりつつある。それだけ砲弾の集中攻撃ででコックピットの外装が押されているのだ。


 それでもトリシャは上気していた。自分はこのまま嬲り殺される。そのシチュエーションがたまらなく心地よかったのだ。


 ――ああ、私はついにおかしくなってしまったんだ。レベッカを盾にしたあの時から私はおかしくなっていった。そして誰かに嬲られるのを楽しみにしている自分がいる。このまま私は死んでいくのだろうな。そんなみじめな死が私にはお似合いだ。ゼロツーには悪い事を、したな。


 と思考にならない思考をしていた時、ピタリと砲撃が収まったのだ。


「えっ?」


 一瞬で冷めたトリシャは、残っている機能を使って状況の分析に勤めていた。


「援、軍?」


 航空機が飛来していたのである。どうやら爆装しているらしく、爆弾を次々にお見舞いしていく。まるで今までやってくれたお返しと言わんばかりだ。


 どうやらこの戦車部隊というのは航空機の爆装には無力だったようだ。随伴していた高射砲もどうやったのかは知らないが早々に沈黙させられていた。


 ――死にそびれた、のね。


 一つだけ言えるのは、これだけの時間が経っていてなおトリシャは現に生きている、という事だろう。戦闘は終息を迎えていた。


全46話予定です


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ