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第二章 捕虜生活 

私も学生の頃は戦争や軍隊や軍事に興味が湧いて色々な本や動画や雑誌を読んで知識を深めたと思います。それが好きで好きでどうしようもなかった。だけど同時に最近になってようやく戦争は本当にどうしようもない事に気がついたのです。それに気がつかせてくれたのがシベリア抑留日記や物語なのです。守るために軍隊や及び防衛戦など色々な綺麗な言い訳があると思います。だけど所詮それは戦争の当事者や犠牲者になった事がないから言える言葉なのです。我々が戦争について調べると必ず「自分だけは安全地帯」で物事を考えている姿があるのです。これはどんなに戦争を考えても心のどこかで必ず「自分には関係ない」や「自分は特別」及び「自分はこんな事に巻き込まれない」と考えているのです。一般市民として客観的視点で見る戦争はシベリア抑留及び捕虜の身分となった一般国民の視点ではないでしょうか。世間ではかっこいい兵隊の姿や軍服の漫画が溢れています。若い少年や少女がかっこよく軍服を着て部隊を指揮して戦争に勝利を演出する場面ばかりです。だけど今一度現実を理解してみましょう。男は殺されて女は慰みものにされるのがオチなのです。例え一時的に勝利したとしても争いの災いは来るのです。

 北方の冬は寒い。ただ寒いのではなく「痛い」のである。何も考えずに素肌を出していたら凍傷になる。病院もない。あるのは強制収容所だけだ。遥か遠方にある祖国への帰国は未だ叶わない。


大森「早く故郷に帰ってお母さんのご飯が食べたい。家族と一緒にいたい。こんな生活は人間の尊厳を踏み躙っている」。


大森の直ぐ横で斉藤も呟いた。

 

斉藤:「ここに収容された人数は未知数だが恐らく大勢いる。そして自分と同じように故郷に帰って大切な人たちに会いたいと考えているに違いない。同時にその目標が命を繋いでいるのだろう。あの戦争は間違っていた。国なんかどうでもいい。どこが負けても勝ってもどうでもいい。とにかく帰りたい。帰らせてくれ。なぜ自分はあの時のぼせ上がっていたのだろう。軍人や軍隊に憧れて何も考えずに志願してしまった自分が憎い」。


西川路:「バカな事言ってねーで早く木を伐採しろ!ノルマは俺らの班で3本だぞ!ノルマ未達成だと飯が減らされる。無駄口を叩くな。俺を巻き込むな」。


 3人がいる場所はソビエト連邦に多く点在している強制収容所の一つである「シベリア収容所」だ。


 ここで大まかに歴史のおさらいをする。日本人としてこれらの歴史を理解することは大変有意義な事である。そして日本人として同胞の歴史を知らない事は御先祖に申し訳ない。


 大日本帝国が大東亜戦争後米帝に無条件降伏した後に突如ソ連軍が北方から満州方面に向けて雪崩れ込んできた。これはソビエト連邦が一方的に日ソ中立条約を破棄した事に起因する。今でもこれは国際法の違反であり問題である。ソビエト連邦ロシアは約束を守らない国である。


大森「だけどよ。西川路俺ら会話しないと眠りそうでたまらないんだ。ここは寒くて寒くて体が言う事を聞かないんだ」。


西川路「わかったからあまり大きな声で話すな。見張りに見つかる」。


当時(1945年から)シベリアの気候はマイナス10度から20度になる事は当たりだった。強制収容所から配給された防寒着ではマイナス30度までしか耐えられないとされていた。それ以上のマイナス40度から50度になると骨にまで染みる寒さであった。流石にマイナス60度になると屋外作業は休みになったらしい。


斉藤「確かに西川路の言う通りだ。見張りに見つかると面倒だ。飯は減らされて殴られて良いことはない」。


3人は心の中で同じ事を考えた。


「あの戦争は本当に意味があったのだろうか。意味があるのならどうして今我々はこんなに苦しい思いで生きていかなければならないのだろうか?誰か説明してくれ。そして助けてくれ」。


つづく










今世界では相変わらず争いが絶えません。日本にせまる脅威なども無視できません。だけど同時に考える事があります。自分たちが戦争を当事者として考えるのです。自衛隊の増強に賛成する国会議員や国民が増える事は確かに良いこともあるでしょう。だけどその方々は自分たちが出兵する事も考えているのでしょうか。恐らく考えていないのでしょう。自衛隊が戦うから我々には関係ないと考えているでしょう。ただ自衛隊が今後もしも外国と交戦すると真っ先に戦うのは我々一般市民です。自衛隊はドイツ様式の軍隊構造なので一般市民が戦争時戦うのです。自衛隊の数が少ないのには理由があります。自衛隊の正規隊員を教師と考えると後から緊急募集で招集される一般市民は生徒なのです。生徒は教師の号令で指示された方向に走らされるのです。要するに突撃させられるのです。今でも自衛隊の教練は基本突撃です。我々一般市民が突撃で死んだら上の教師「将や幕僚クラス」が新たに作戦を練るだけです。そして生き残ったとしても捕虜生活が待っているのです。中にはジュネーブ条約があるから大丈夫だと考える輩もいるでしょう。だけどお隣のウクライナやロシアを見てください。ジュネーブ条約は双方守っていません。そして近しい親戚の民族同士殺しあっているのです。これがアジア人と白人の争いならどうでしょうか?絶対に残酷な捕虜生活しか想像できません。同じアジア人同士でも健全な捕虜生活は送れないでしょう。最悪同族同士だからこそ熾烈を極めるでしょう。

最後になりますがシベリア抑留された方々の日記や書籍は本当に涙が出てきました。世間ではかっこいい戦争を題材にした漫画やアニメ及びゲームが溢れています。これらの作品を否定はしません。なぜなら日本は民主主義でありこれらの作品を自由に公開できる素晴らしい法律があるからです。だけど今一度考えて欲しいのです。戦争や争いは決して痛快で素晴らしいものではなく、あるのは残酷で無慈悲だけなのです。戦後80年(皇紀2685年)を迎える日本と人々は今一度戦争の陰を改めて認識してほしいです。

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