リレイダンサー1
『リレイダンサー』 SWORD猛射 全面的に著
わたしは、階という言葉が大好きだ。それは一文字に収まっていい格好良さの許容範囲を明らかに超えているからだ。
そしてわたしは今33階にいる。
標高500m上空で小さな体を今にも落ちそうな一枚の板の上で片足一本で支えている。
今わたしは神になっているのだろう。
きっとこの世界にはここ以上の高度に人はいない。
まあ、もともと下にも人なんていないけど。
「...すぅー」
ト ラ ン ス フ ォ ー メ イ シ ョ ン
「TRANSFORM A T I O N」
あたりに閃光が散らばると、そこには
大きな実があった。
「ボトッ」
「ボトッボトッ」
平均2cmの赤子だ、
そこかしこに散らばっていっている。
「とりあえず、太平洋へ。」
推定600mほどのオオアリクイが今日も歩き出す。
リレイダンサー
南架メソジュニ高校
100 - A
「はい、もしもしこちら南架メソジュニ高校です。」
今日受話器を取るのは隣席の娑婆櫻くんだ。
「はい、はい、そう伺っております...」
またあの人かららしい。
なんともこの世界は残酷だ。
そんな地獄の一片を横目に本を開く。
子供の時お母さんに買ってもらった絵本だ。
毎日学校に持ってきては呪いみたいに同じページばかりをめくっている。
『アリとキリギリスと本マグロと町は』の18ページ目は何故かすべてを忘れて読んでしまう。
そして気が付いたらみんなが席について授業が始まっている。
少し遅れて教科書を出す。これが日常。いつもと変わり映えのないものだ。
今日も気だるげに小俣先生が黒板を雑に消して、挨拶を始める。
「えー、皆さんおはようござ
「みんな一緒なのに孤独死。」
「みんな...」
「みんなあああああああああああ!!!」
教室は突然の叫び声に静まり返る。
娑婆桜くんがひとり喚き散らしている。
生徒たちはおろか、小俣先生まであっけにとられている。
そうなるのも無理はない娑婆桜君は優等生でしっかり者だからだ。
だけどわたしはいつかこんなことになる気がしていた。