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禁忌魔法使いの世渡り旅  作者: 青薔薇
進展
19/22

脅威

まず3人は森に来ていた。

『影世界』へ行く為の検討はついたものの、

まずはそれが正しいのかを確かめければならない。


「と、言うわけで森にやってきたわけですが…」

「魔力の密集してる場所とか、魔獣が出てくる場所とか、わからないんじゃないですか?」


ユイカが疑いの目をカシアに向ける。

当のカシアは気にしていないようで、


「だーいじょぶ、なんとかなるって!」


と、とても能天気な返事をした。



「はぁ…目星はついているんですか?」


ユイカが辺りを見渡して言う。


「まぁ最近『サーチ』の範囲も広がったし、

瞬間移動も使えるから地道に探すしかないねぇ。」


カシアがそう言って歩き出すとユイカは大層不満なようで、


「……甘いものがたべたい…」


と小声で呟きながらカシアについて行った。


「あの、お姉ちゃん」


ユアがカシアの背中をつんつんする。


「どしたの〜?」


笑顔で優しく振り返り、頭を撫でた。


「あの、ちょっと言いずらいんだけど…」


相当言いずらいようで、なかなか言ってくれない。


「どうしたの?何か大変なことがあった?」

「…は、まさか、忘れ物!?」


カシアが大袈裟に反応してみても、


「うぅん。そういうのじゃないの。」


否定して少し空いて、ユアが口を開く。


「……前言った、『成功例』の私の事、覚えてる?」


突然そんなことをいうユアに、どう返せばいいか分からずカシアは


「う、うん。覚えてるけど…急にどうしたの?」


と、ぎこちなく返してしまった。

ユアはゆっくり口を開いた。


「…その、『成功例』の私が…近くにいる。」


その言葉で2人は攻撃態勢に入ったが、一足遅かった。ユアの胸には、既に穴が空いていた。



カシア達が森に入る少し前。3人の話し合いが終わった頃。


『影世界』・未開の地『?????』でも、

話が行われていた。


「おい。『No.09』は居るか。」


部屋の豪華な椅子に座り、魔液晶を見ていた

???・????は近くにいた使用人に声をかけた。


「少々お待ちください。」


使用人が部屋を出ていくと間もなく、『No.09』が扉をノックした。


「親愛なる王よ。失礼します。」


そこには、メイド服を着た少女が立っていた。


「来たか。??よ。」


???・????が名前を呼ぶが、あまり嬉しくはないようで、


「王よ。その名前はやめてください。私は機械です。よって名など不要です。いつものように『No.09』とお呼びください。」


と反発した。


「はは、悪かったな。『No.09』よ。」


???・????は少し笑って言った。


「さて…本題に入ろう。」

「最近、『表世』に繋がる森で魔獣が激減する異変が起きているらしい。」


???・????の顔が険しくなる。


「あそこは唯一繋がる場所だ。問題が起きれば、

『表世』の侵攻に支障をきたす。」

「そこで我が軍の重鎮であるお前に、1つ命を下す。」


「はっ。なんなりとお申し付けください。」

メイド服の少女は1歩前へ出た。


「私たちの世界から『表世』へ行き、門周辺の調査、可能であれば問題解決まで完了してこい。」

「期限は問わん。が…あまり遅いと痛手だ。」

「よろしく頼んだぞ。『No.09』」


「了解致しました。速やかに解決してまいります。」

「では。」


メイド服の少女が部屋を出ようと扉に手をかけた時。


「待て。伝え忘れた事がある。」


???・????が呼び止めた。


「なんでしょうか。」


メイド服の少女は振り返った。


「その問題、どうやら数人の人間が起こしているようなんだが…」


1拍おいて???・????が言う。


「情報によると、その中に、??シリーズの『失敗作』がいるらしい。」


その言葉にさっきまで表情ひとつ変わらなかった

メイド服の少女の顔は、一気に険しくなった。


「…その情報は確かですか…?」


確認の為に聞いているが、1呼吸の度に空気が揺れる。


「あぁ。他の『失敗作』の『No.7』に門を潜らせたが、反応があったらしい。『表世』にいると言う事は1度破損して復旧したようだ。」

「何か変なものが関わっている可能性もある。十分警戒して任務を進めてくれ。」


「…かしこまりました。迅速に解決いたします。」


その言葉のあと、メイド服の少女は一瞬で姿を消した。


「…ふぅ。これが悪手にならなければ良いが…」


???・????は眉間を摘んで呟いた。

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