表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁忌魔法使いの世渡り旅  作者: 青薔薇
進展
18/22

とりあえず

キルトと別れて、国を出た。

ちょっと見て帰る予定だったが、結構長く滞在していた。


「いやぁ、なんか短かったのに長く感じたねぇ」


カシアは率直な感想を述べる。


「しょうがないですよ。3日間くらいであれを全部こなしたんですから。」


確かに。カシアは思った。

国に入って3日でこれをやってのけた自分たちは凄いのではないか?と思い、


「私達、結構凄いじゃん♪」


鼻歌交じりに呟いた。


ふと、ユイカがカシアがつけている指輪に気がついた。


「カシアさん、その指輪はなんですか?」


「あぁこれ?なんか1回だけキルトと遠隔でお話が出来る道具らしいよ。いざと言う時は来てくれるようにだって。」


国を出る前、キルトがこれを渡してきた。あの国で何かあるのかもしれないが、私は関係ないので貰うだけ貰うことにした。


「まぁ、使わないだろうけどね。」


そんな他愛もない話をしながら、森の奥に入ってワープであの迷宮まで帰った。ユアが問う。


「ここはどこ?」


「私達の拠点だよ。ここなら多分人に見つからないから快適に過ごせると思うよ。」


カシアが自慢気に言う。

借り物なのになぁ…とこちらをじっと見てくるユイカの視線を押しのけて、ユアに言う。


「だから、ここなら前の話し方に戻してもいいし、慣れたいんだったら今のままでいいよ。」


するとユイカがびっくりした表情で、


「えぇ!?戻しちゃうんですか!?」


と叫んだ。どうやら、今のユアが気に入ってるみたいだ。


「ま、まぁそれはユアが決めることだし…?私には関係ないしぃ…?」


とカシアは曖昧に返事をしたが、


「私はお姉ちゃんに任せるよ!」


満面の笑みで言うユア。

うん。このままのがいい気がする。そんな気がする。

どこまでも尊く感じる。the 妹って感じ。


「ユイカ。私にはこの可愛さを無くす事は出来ん。」


「同感です。」


2人再び胸を打たれ、ユアはこのままにする事にした。



「さぁ、ひと段落ついたところで。」


2人を座らせたところで、ゴホン、と改まってカシアは言う。


「これからの事を話そうと思います。」


ぱちぱちぱち…と2人の拍手が響く。


「まず、第1目標はなんでしょうか。」


「はい。」


ユイカが手を上げる。


「はいユイカさん。意見をどうぞ。」


「影世界やユアについて調べることです。」


「はい違います。それは第2目標です。」


ばっさり切った。


「はい!」


ユアが元気に手を上げる。


「はいユアちゃん。なんでもいってごらん。」


でれでれして言うカシア。ユイカは反応の違いに拳が出そうだったが、ぎりぎりで抑えた。


「みんなで仲良く暮らすことです!」


「はい正解。よくできたね〜」


頭をよしよししながら言うカシア。

一瞬ユアがユイカを見て『ふっ…』と笑った気がするが、スルーしておく。


「ま、待ってください!影世界が優先じゃないんですか!?」


ユイカが立ち上がって言う。

それにカシアは、


「まぁ、それが優先事項ではあるけど、まずは仲良く暮らす所からだと私は思うよ。」


ね〜♪ユアちゃ〜ん♪と頭を撫でながら言う。


「わ、私だって…」


撫でて欲しいです!…とは口には出なかった。


「何か言った?」


カシアがこちらを見る。


「なんでも、ないです…」


と、少し不満げになるユイカであった。


「とまぁ、雑談は置いておいて…」


カシアが話を戻す。


「実際、影世界の研究はするべきだと思う。ユアもその方がいいでしょ?」


ユアが頷く。


「うん。影世界にいる、自分よりも上にいる自分と…ケリをつけたい。」


そこには、さっきの甘える目では無く、覚悟の決まった目をしていた。


「その為にも…」


カシアがいいかけると、


「まずは行くための手段ですよね。」


ユイカがフォローしてくれた。


「そう。最初にして大きい壁になるね。これが。」


向こうから来る手段は確立しているらしいが、こちらは何も分からない状態であり、調べようにも調べられない。


「現時点で行ける可能性を秘めるのは2つ。」


カシアが指を立てて言う。


「1つ。頑張って研究を重ねる。」

「でもこれは相当時間がかかるし、出来るかどうかも分からないからあまりオススメしないかも。」


ユイカも同じ意見のようだ。


「2つ。どうにかして向こうが来るタイミングを待って、その手段を見る、または奪う、利用する。」

「現時点では、これが1番な気もするけど…」


「そのタイミングは分からなければ、手段もワープかもしれない…ということですか?」


ユイカが言う。


「そう。不確定要素が多すぎる。つまりこれは可能性が1番高くて1番低い確率…って事になる。」


2人は悩んだ。

莫大な時間はかかるが方法は分かる『研究』


時間は『研究』よりはかからないが、限りなく可能性が低い『略奪』


どちらにするべきか。


「まぁ、他にも方法がありそうだし、気長に考えてもいいと思うけどね。」


カシアは方法についてはあまり深刻に考えていなかった。どちらかというと、『影世界』へ渡ってからの事を考えていた。


「ユア。影世界ってどんな感じかわかる?」


ユアは少し悩んだ後、


「基本的には、街があって、その中に住んでいる種族もあれば、森とかの中に住んでる種族もいる。こっちの世界に来るのは貴族とか研究者の身分が高い人か、森で迷い込んだ魔獣くらいかな。」


と言った。

そこでユイカは気付く。


「森で迷い込んだ魔獣がこっちに来るのって、どうやって来るんでしょうか…?」


カシアは目を見開く。

そうか、気が付かなかった。そういう事か。と。


「ユイカ!いい視点だ!素晴らしい!」


ユイカは照れている。それを気にせず、カシアは頭を回す。


「そうか。何故森の中や迷宮にしか魔獣が沸かないのかと思ったが…」


ユイカとユアはまだ分からない。


「それどういうことですか?」


ユイカが尋ねる。


「多分だけど…向こうの森に迷い込めば、こっちの森に出てくるんだと思うんだよね。」

「つまり、こっちの森から頑張れば『影世界』へ行けるかもしれないってこと!」


2人から拍手が上がる。


「確かに、その可能性は十分にありますね。」


ユイカが言う。


「魔力が乱れた時にそこに入れれば、あっちの世界へ行けるかも知れない!」


続いてユアも言う。


みんなの意見が固まった。

カシアとユイカは、ユアの為に頑張る、と2人で決意した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ